日本財団 図書館


第3章 地域特性を活かしたまちづくりの方向−産業観光ビジョンの策定−

 

1 土岐市における産業観光振興の必要性

 

本市の陶磁器産業の動向や本市及び周辺地域の観光動向などを踏まえて、本市における産業観光振興の必要性を、次のように整理した。

 

(1) 経済の基幹をなす陶磁器産業活性化への貢献

本市経済にとって陶磁器産業の占める位置は大きく、陶磁器産業の衰勢は市勢の衰勢につながりかねず、陶磁器産業の活性化が本市の基本的課題である。

しかし、本市の陶磁器産業は、近年の商品価格の下落傾向に加えて、わが国の生活スタイルの変化に伴う陶磁器需要の縮小や低廉な外国製品との競合による輸出の減少から、他の陶磁器生産地と同様に出荷額が伸び悩み、本市経済の中枢を担う陶磁器産業は厳しい状況にある。

とりわけ、本市の陶磁器事業所の製品の多くは、多くの流通経路を通して消費者に届くため、陶磁器事業所の多くが消費者ニーズの把握が困難ななかでの新製品開発や新デザインの模索を、余儀なくされている。

産業観光の取組には、消費者の生活スタイルの創造の支援という面がある一方で、生産者と消費者との情報交換の場、すなわち生産者が消費者ニーズを把握できる場を構築するという側面もある。

このことは、美濃焼ブランド化の強化とPR、マーケティング機能、新製品開発意欲の創出、デザイン開発機能の強化などを側面から支援し、陶磁器産業の振興に貢献するものである。

 

(2) 産業観光への取組による多様な都市機能の展開

近年、陶磁器関連のイベントの積極的な開催や、集客力のある施設整備を通して、本市への観光客入り込み数は拡大しているものの、観光関連産業を育成するほどまでには至っていない。周辺の陶磁器産地の観光客入り込み数と比較すれば、背後地に膨大な消費者を抱える名古屋都市圏からの交通の便の良い本市においては、観光客入り込み数が今以上に増大する潜在的な余地は、十分あるといえる。

現在、名古屋市近郊では、「ものつくり」の現場をみせる産業観光の取組が進められ、一定の成果をあげつつある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION