日本財団 図書館


○ 機械的配分(連邦政府による個別詳細な審査を廃止し、貧困、人口動向、住宅水準等のデータにより機械的に地方公共団体に交付。)

○ 民間支援の容認(補助金支給や基金設置による低利融資等も可能。)

◇ 都市開発活動補助プログラム(UDAG)(1978年創設)

地方公共団体と民間ディベロッパーが協力して行う都市再開発事業に対する補助金であり、使途の融通性が高く、9割弱が民間ディベロッパーの直接支援に使われた。

◇ エンパワーメントゾーンプログラム

衰退している地域の活性化を支援するために支給される補助金であり、経済成長は地域のあらゆる層の関係者が参加することにより実現されるという考え方のもとに、地域の低所得者層の技能修得や住宅確保、衰退している地場産業の再生等様々な施策に活用されており、現在、100余りの地域が指定を受けている。

 

2] 地方公共団体の動き

上記の動きを受け、市とコミュニティーとの間にたって連絡・調整を行うプランナーが育成され、1980年代には、コミュニティーをベースとして中低所得者向けに住宅供給や中心市街地の活性化事業を行うCDC(Community Development Company)等の活躍に繋がったと言われる。

また、地方公共団体が土地利用規制に関する権限を有しているため、これを背景に民間と交渉して開発計画を作成し、両者の協力により開発を進める事例が1980年代に増加した。

具体的には、地方公共団体が民間へのインセンティブとして補助、融資、利子補給、土地の集約・安価売却等や土地利用規制の緩和を行う一方で、民間に対しては、開発の質の向上(デザイン調整、歴史的建築物保存の協力等)、市民の要請の受け入れ(コミュニティー施設整備、雇用機会確保等)、利益の一部の地方公共団体への還元(賃貸収入の一部返還等)等を求めている。

◇ シアトル市(ワシントン州人口約50万人)

市内に設定された38の計画区域毎に住民のボランティアからなる「近隣計画委員会」が組織され、計画の作成と市への提案を行う。

近隣計画委員会は自治会等とは異なる組織であり、住民構成等を踏まえ、各分野から代表者が最低1名ずつ参加するよう配慮されている。また、課題別に検討会を設け、誰でも参加できるようになっており、検討会を含めた参加人数は、一区域に200人、市全体で3〜5千人程度。

委員会が提案した計画の一部は、市のマスタープランの一部として公定され、また、個別施策の実施状況の管理も委員会が行う。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION