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6 おわりに

京都市では、平成11年12月、京都のまちづくりの基本方針となる『京都市基本構想』(2001〜2025年)を策定し、次のように掲げた。

 

地域の個性や自然的・歴史的な条件を十分に考慮して、「保全・再生・創造」を基本としたまちづくりを進める。永い歴史に支えられた自然的風土である三方の山々、文化財や史跡の点在する山麓(ろく)部、そしてゆとりと景観に恵まれた住宅地の一帯は、自然と歴史的な景観の保全に努める。伝統的な町家や町並みが数多く維持され、商業・業務機能が集積し、職・住・文・遊が織り重なる歴史豊かな市街地は、調和を基調とする都心の再生に努める。そして南部は、高度集積地区を中心に、21世紀の京都の新たな活力を担う創造のまちづくりに努める。このような大きな枠組みのなかで、それぞれの地域において市民が日常的な生活機能を身近に享受でき、かつ、多彩で個性的な機能をもつようなまちづくりを進めることにより、京都全体としてまとまりのある良好な都市環境を形成していく。

 

また、平成12年1月には、この構想に基づき、「京都市基本計画」(2001年〜2010年)を策定し、都心部の再生については、「調和を基調としたまちの再生」という方針の下、次のような政策を掲げた。

 

(ア) 歴史的な市街地空間の継承・再生

市街地においては、永い歴史のなかで培ってきた職・住・文・遊にかかわる都市機能が織り重なるまちの魅力を新しい時代にあったかたちで継承し、再生する。

このため、地域と共生したマンションの建設、京町家の保全・再生、袋路における協調建替え、共同建替え等を促進し、受げ継いできた地域の個性を生かした士地利用を進めるとともに、住民主体のまちづくり活動を促進し、地域コミュニティの再生を図る。

また、市西部の周辺市街地などにみられる住宅と工場が混在する地域については、両者が共存する土地利用モデルを確立するなどにより、魅力ある居住環境と特徴ある産業環境が共存する都市空間を形成する。

(イ) 職住共存地区の整備促進

都心再生の先導的な地区として、「職」と「住」が相互にかかわりあいながら、京都の特色ある多様な生活文化を継承してきた職住共存地区においては、地域ごとの豊かな個性に応じた地域協働型地区計画の策定を進めるとともに、文化財の周辺や京都らしい町並みなどの歴史的な景観を可能な限り保全・再生する。また、既存の町並みと新たな建築活動とが共生できる方策についての検討を進め、必要な措置を講じる。

 

 

 

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