8. 京都市の都心における職住共存の取組
京都市総合企画局政策企画室担当課長 西邑昭裕
1 はじめに
21世紀を迎え、都市のあり方も、増加する人口を都市に受け止め、新市街地の整備等により都市拡大を図った時代から、少子高齢化や経済成長率の低下などによる社会状況の変化を踏まえながら、既成市街地の再整備など、都市の成熟を図る時代へと移行しつつある。
京都市では、平成10年4月、都心部の中でも特に「職」と「住」が共存する地区を対象とする『職住共存地区整備ガイドプラン』を策定した。このプランは、京町家を重要な要素とし、歴史が凝縮された京都らしい町並みをできる限り保全・再生しつつ、新たな建築活動との共存を図り、魅力ある定住環境と特徴ある産業環境を確保し、「住み続ける」ことによって暮らしの中に新たな価値が生まれてくることを目指している。
さらに、平成12年5月には、京町家に蓄積されてきた、くらし・空間・まちづくりの文化を継承発展し、新たなまちづくりを住民・企業・行政が連携するパートナーシップにより進めていく『京町家再生プラン』を策定した。
また、「袋路(ふくろじ)」とよばれる通り抜けのできない路地が数多く見られる都心部において、パートナーシップのもとに、袋路の再生に取り組んでいる。
一般に都心居住の意義や施策が必ずしも確立していない中、本論で紹介する京都市の特徴的な取組が、今後の都心居住促進のあり方を考える一助になれば幸いである。