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第二は、マネジメントや意想決定の‘過程’の改善である。関連する諸問題(健康管理と住宅など)間の調整が改善される。この例としては、一ヶ所で何でも揃う「コンビニ方式」、あるいは「窓口の一本化」といった体制を敷くといった事例があげられる―下されたある特定の決定や与えられた情報は必ずしも異なる場所で利用可能である必要はないし、同一の場所で利用できれば便利である(たとえば計画申請は、今ではかつての平均所要時間の7割で処理される)。「大改革」の多くは、この手の改善である。この手の過程改善が業務結果に直結することが前提となっているのだ。むろん、実際問題としては、この前提が実際に維持されるかどうか、それをチェックする必要がある―たとえば、公共部門の大改造プロジェクトは、必ずしも最終成果に、出力に対してでさえ、認識可能な効果をもたらすとは限らない。(Packwood et al, 199)。

 

第三に、「結果」は、政治制度もしくは行政制度の全体的な能力における大きな変化という形を取ることもある。制度が将来的に生起すると思われる圧力により弾力的に対処できるようにするという意図から、組織のパターンが、より柔軟性を持つように再設計されることもある。たとえば、上級公務員全員の任命が、すでに公務員であり、ヒエラルヒーの該当レベルにいる者に限られる状態よりも、もっと競争的で自由になることがあげられる。

 

最後に、第四として、「結果」は、制度がどの程度好ましい状態か、もしくは理想的な状態に変わったか、その程度との関性で評価されるかもしれない。これは、おそらく、結果のもっとも戦略的な意味かもしれない。これはまた、もっとも明白な教義的で・イデオロギー的なものであるかもしれない。もし理念が非常に小さく、軽量な国家組織にあるなら、パブリック・マネジメントの改革は、この見解の方向にシステムがどの程度移行したかという観点から判断されるかもしれない。

 

すぐにわかるのは、第一レベルと第二レベルは、第三レベルと第四レベルよりも正確かつ具体的かつ―潜在的には、少なくとも―計量可能だということだ。第三レベルと第四レベルは双方とも「制度レベル」の結果であり、双方とも、価値の変遷など、いくぶん抽象的で無形の変化を含んでいる。実際は、この二つの境界線は、つねに明瞭であるとは限らないが、原則的には、第三レベルの方が第四レベルより具体的であり、規範的ではない。

 

少し考えれば、結果というものは―それが、どんなレベルの結果であれ―、さらに進んだ結果に結びつくかもしれないことがわかる。第4レベルでは、国家の最小化/市場の最大化に向かわせる確固たる推進力の「結果」は、福祉国家を守りたいと願う投票者の裏返しの気持ちであるかもしれないし、また異なった政権―この政権は福祉国家の当初の戦略目標をゆるめ、破棄した―を選ぶことに成功した投票者の反乱であったかもしれない。第一レベルでは、特定の徴税機関の生産性が20%改善されると、他の徴税機関が同様の効率をあげられない理由を調査することがマネジメントの最重要課題となる。

 

 

 

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