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第2章 諸問題と解答:パブリック・マネジメントの改革モデル

 

「改革とは、ある集団や個人によって唱導された一つの方向への変化を意味する。必ずしも改善を意味するわけではない」

(Rubin, 1992, p.20)

 

2.1 なぜ、それほど多くの改革が行われてきたのか?

 

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こうした印象がおおむね正しいとするなら、その理由が問われなくてはならない。改革の実行者たちを駆り立てている力とは、なんなのか。改革は、一時の流行なのだろうか。それとも、もっと強い影響力が働いているのだろうか。多くの国々が先を争うように自国の公共部門の改造に着手したが、その一方できわめて慎重な国があるのはなぜなのだろうか。ある国で起きたことと他の国で起きたこととの間の同時性と相違性を、いかにすれば説明できるのだろうか。本書の以下の章では、これらの問いに対する答えを明らかにするのに、多くの紙面が割かれる。しかしながら、最初の一歩としてマネジメントの改革の一般モデルを開発しておけば都合がいいため、本章ではその作業を行う。

 

2.2 パブリック・マネジメント改革の一つのモデル

 

われわれがこれから提示するモデルは、第一近似値となることを意図している。その目的は、変化の推進と抑制と、その双方に働いてきた、大きな力を叙述することにより、その後に続く議論のための枠組みを提供することにある。このようなモデルは、そうした力についての考え方を示す地図ともなり、図表ともなる。このモデルから、そしてその範囲内で、複数セットの類型のより詳細な理論を明らかにすれば、それらによって個々の国の、そしてグループ分けされた複数国の、明確なパターンと傾向とが分類され、解説できるだろう。それゆえ、以下に提示するモデルの各部分は、本書の後段において詳述され修正されるとともに、証拠が紹介され、われわれの主張が練り上げられる。したがって、このモデルは発見的な装置、あるいは学習の手段でもある―そのことは、改革への影響の簡単な略図を描こうと試みる者なら、だれでもすぐにわかることだ。

 

 

 

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