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国道128号線沿いの旧海食崖跡

 

今、私たちは九十九里平野の南端部に近い一宮から、国道128号線を南下しています。道路の右手側を見ると、高さ30〜40メートルくらい崖が見えますが、この上に下総台地があって、台地がちょうど切れているところを今我々が走っています。そしてこの辺りが、今から5000〜6000年前の縄文時代頃の海岸線で、この崖付近には貝塚がたくさんあります。

 

九十九里平野という土地は、標高2〜3m程度の非常に平らな土地です。勾配でいうと3,000m行って1m下がるかどうかという、非常になだらかな勾配ですから、高台の下総台地に降った雨が一挙に流れ出てくるので、この辺りは水害常襲地帯と言われている場所で、昔から洪水に悩まされている場所です。ですので、この地域の農業は、昔から水はけをいかに良くするかに重点を置いてやってきたわけです。

 

この付近には夷隅川(いすみがわ)という川が流れています。この川は房総南部から海岸線に沿って、海に流れ込むことなくずっと北上して流れてきて、この付近で海に注ぐという、非常に曲がりくねっていることで有名な川ですが、これはこの辺りがいかに平らな土地かということを示す好例です。

 

これから向かう太東崎というところは、ここから約60km離れた九十九里浜北端に位置する屏風ヶ浦と並ぶ大きな岬です。太東崎も屏風ヶ浦も、約6000万年前に火山灰などが海底にゆっくりとたまって、それが固まってできた凝灰岩とか泥岩とか砂岩とかが隆起してできた土地で、その隆起した土地が今、波で削られて、再び海に戻ろうとしている場所です。そこで削られた砂や泥のうち、特に泥分は沿岸の海底に一部戻り、砂分はこの九十九里浜に漂着して広大な砂浜を形成しています。

 

 

 

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