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海洋管理の哲学

―海は人類の共同遺産―

 

エザベス・マン・ボルゲーゼ

 

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ご紹介ありがとうございます。大変にご丁寧なご紹介をいただきました。私にとりましても、きょうここにご招待いただきましたことは大変光栄に存じております。そして、今、笹川理事長から大変に素晴らしいお話をいただきました。大変にご立派な内容でございました。今言れましたことに、すべて私は同意するものであります。

カナダでも、非常に日本と同じような状況に直面しております。オタワでも、今、カナダの人たちが一緒に行動しようとしているわけであります。今少なくとも20の異なる政府の機関があって、海洋を担当するものが省庁としても20もあるということでは、統合した形での総合的な政策をとることは、もはや不可能であるということがわかりました。また、今、お話のありましたとおり、国連の新しい機関として総会によってつくられました「海洋に関する非公式協議プロセス」が始まりましたが、これに対して私も大変によいことだと思っております。今回の第1回「海洋に関する国連非公式協議プロセス」には、私も出席いたしまして、この設立のために私も相当に努力をしたわけでありますが、そこで出された勧告は政府に対するものであります。政府に対してその責任を想起させ、そして同じようなプロセスを国レベルでもつくることを求めております。もし国家が総合的な政策を国内でつくることができなければ、UNICPO(海洋と海洋法に関する国連非公式協議)のプロセスがうまくいきません。地元で、そして国で、そしてまた地域や、グローバルなレベルで行っていることが一致しなければいけないのです

それでは、ここで私が予定しておりました講演のほうに入らせていただきたいと思います。とても難しいテーマを今回は選んだと思います。すなわちOcean Governance、海洋管理の哲学でございますけれども、寺島常務理事のほうからこの提案をいただいたわけですけれども、「governance」という言葉は大変に難しいテーマであります。特にgovernanceの哲学はさらに難しいものであります。私も非常に密度の濃いお話をすることになるかと思いますので、どうぞ皆さん忍耐強く私の言うことをきいてください。

ウェブスターの辞書では「ガバナンス(統治)」は「政府(ガバメント)が持つ技術、方法、機能または権力」となっています。ローマクラブが意味する「ガバナンス(統治)」はこれとは多少異なり、同クラブの文献では、「ガバメント(政府)」と「ガバナンス(統治)」を区別して使用されております。

 

 

 

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