日本財団 図書館


会議日程は下記のとおりである。

 

002-1.gif

 

採択された論文は合計85件でカテゴリー別の論文数は下記のとおりであり、Intemational Program Committee ChairmanのKaj Johanssonと前述Professor ChryssostomidisをEditorとした2分冊のProceedingsとして印刷されている。

 

002-2.gif

 

3 造船における情報技術の動向

 

初期のICCASでは造船へのコンピュータ応用の主力はCAE関係がほとんどで、Lines等の設計アプリケーションが加わる程度であったが、ブレーメン会議以降いわゆる設計・建造関係が主力を示すようになりCAE関係はほとんどICCASの対象とはならなくなってきている。

ブレーメンではProduct Model関係の論文が約半数を示す大盛況であったが、横浜では基本設計や全体システムのアーキテクチャ、ロボティクスや曲面生成などに関する論文が増えている。

今回のICCASの大きな特徴としては、下記のStep Application Protocol審議の具体化を受けて、実際に機関間でデータ交換の実験が行われ始めたことがあげられる。データ交換は、会社間、プログラム間、あるいはライフサイクルにわたる交換、即ち古いシステムのデータと新しいシステム間でのデータ交換等、広い視野から検討されている。

 

215: Ship Arrangement

216: Ship Molded Forms

217: Ship Piping

218: Ship Structure

 

Stepについての日本の対応はきわめて不熱心であり、完成後のデータ表現(as built)には使えても設計・建造の現場では使えないとか、決まった後でフォローすれば良いのではないか等、反応が消極的であったが、国際標準としての姿形が見えてきた現在、これについての専門家があまりいないという現実は反省の余地があろう。

 

4 日本造船界として考慮すべき点

 

国内でこの分野の研究開発は、SO財団で続けられているCIM開発共同プロジェクトを中心として、10年以上にわたり継続的に行われている。現在のプロジェクトはGPMEという前期の成果を実地のシステム上に実現するためのフェーズにあり、知識共有の枠組と設計建造プロセスを支援する工一ジェント指向のプロセスモデルの開発に主眼が置かれている。ICCAS '99においてもこの関連の発表は関心をもたれ、とりわけプロセスモデルに関しては強い印象を与えた。

一連のプロジェクトの成果はこれまで、各社のシステムに個別に適用するという形で進められてきたが、各社独自のシステムをこれからも継続的に維持するのかという点については真剣に考慮しなければならない時期にきている。できるだけ汎用化に心がけつつも自社システムの優位性によって競争力を維持したいと言う気持が依然として強いようであるが、急速に進む情報化の中で自社システムを独自に維持発展させることは困難になり、競争のための協業という形が大きな話題になっている。高度造船CIMプロジェクトが最終年を迎えている今日、これをよい機会として今後のあり方を検討しなければならない。

 

 

 

前ページ   目次へ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION