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国際会議報告

 

 

造船へのコンピュータ応用に関する国際会議(ICCAS'99)

正員 小山健夫*

* 情報技術委員会委員長(日本海洋科学)

 

1 ICCASについて

 

ICCAS(International Conference of Computer Application in Shipbuilding)はIFIP WG5.6が主催する国際会議で、1973年東京で第1回が開かれた後3年ごとに各国もちまわりで開催している。1985年トリエステ会議の後、上海、リオデジャネイロと続きいささか低調に推移していたが1994年のブレーメン会議以来再び活性化し、1997年日本造船学会が主催した横浜会議とともに参加者350名を超える大きな国際会議となった。

1997年横浜会議においては、情報技術の発展が極めて速くなり、この分野の研究者の流動が激しくなってきたことにより、3年おきの会議開催では国際交流の実が挙がらないという認識から開催を2年おきに変更することになった。

第10回ICCASは1999年6月7日から11日までMIT(マサチュセッツ工科大学)主催でボストンにおいて開催された。横浜会議が10月であったことを思えば、実質的にはわずか1年半ぶりということになる。

なお、第11回ICCASは2001年秋、コペンハーゲンにおいて開催されることに決まった。

 

2 ICCAS'99, Boston

 

6月はじめのボストン、とくにMITのあるケンブリッジ地区は学年末の時期であり、観光シーズン真盛りである。また、休暇中のキャンパスを利用した国際会議のシーズンでもある。各大学の卒業式もこの時期にあり、会議中MITの近くにあるハーバード大学の卒業式とも重なって参加者はホテルの手配に苦労し、とれた後もホテル代の高さに閉口していた。大学側も国際会議の開催には手馴れており、休暇中空いている学生の寄宿舎を貸出すなどの便宜を図ってくれたが、運悪くICCAS開催中は記録的な暑さに見舞われ、週の前半は華氏100度(摂氏38度)という全米一という猛暑の中で、冷房のない寄宿舎暮らしは大変であったようだ。

会議はMITのOcean Engineering学科、Chryssostomidis教授をChairmanとするLocal Organizing Committeeにより準備された。Committee MemberにはMITをはじめとする各大学、造船所、米海軍および政府関係者から構成され、とりわけ日本からの参加者は、Local Committee memberであるMITの増渕教授や、増渕教授からKawasaki Professorを引継がれたProfessor Patrikalakisの研究室で勤務中の前川博士に大変お世話になった。

事務局を極めて簡素な形で運営したこともあって、会議の規模等についての主催者側の公式発表がないため詳しいことは分からないが参加者は約200名強であり、ブレーメン、横浜に比べ規模は相当縮小した感じであった。国別参加者数も明らかではないが、参加者名簿から見る限り、日本からの出席者は17名であったのに対し、韓国からは18名であり初めて韓国が日本を上回ったようである。米国在住者を加えれば日本人のほうが多いという見方もあるが、この分野でも韓国の人材が豊富になりつつあるという印象が強い。

会議の規模が小さくなったこと、横浜会議からの時間間隔が1年半しかなかったことから、質量から見た論文のレベルが低下するのではないかとの懸念もあったが、結果的には今回の論文応募数は横浜会議とほぼ同数の100件を超え、質的にもかなり良い論文の寄稿があった。

 

 

 

 

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