5.2 Wave spectra
5.3 Probabilistic description of stationary sea states
5.4 Long term climate description
5.5 Freak waves
5.6 Laboratory generation of sea states
6 Design environmental conditions
6.1 The challenge
6.2 Parameter definition of design wave environments
6.3 Time domain representation of design wave environments
7 Conclusion
今回の報告でのいくつかの話題を以下に紹介する。
3章のFidelityとはデータの信頼性あるいは精度と言った意味で、古い言い方だが音楽のHi-FiのFiのことである。議長のProf. Tedeschiが自分はEnglish personでないので、この言い回しが良いのか分からないからと、英国、米国人のDr. BrookとProf. Troueshに確かめてこのタイトルになった。
5章の5.2波スペクトルでの表示において、新たに提案がなされた。従来、ISSC波スペクトルとしてPierson-Moskowitz型の周波数の裾の部分がω-5に比例するスペクトルが広く用いられているが、計測結果は必ずしもそうとは言えず、むしろω-3.5〜ω-4に比例することが報告されていること。日本の東北大の鳥羽教授を始め有力な研究者もスペクトルの裾はω-4に比例することを支持していることより、波スペクトルの表示に再考を促すことが述べられている。
6章の設計海象では、船舶および海洋構造物の構造設計のための設計海象の概念が述べられ、最大荷重と海象の関係、シミュレーション技術などの最新の情報が述べれられている。先にも述べたように、今回の報告書は海洋環境データの利用者に立った視点と言うことで、この6章はまさに、構造強度と海洋環境とをつなぐもので、構造強度設計の立場から設計海象の考え方を述べ、従来のI.1の報告書にはなかったものと言える。
今回の会議はジェノア大学の船舶海洋工学専攻の大学院の建物で行われ、写真に示すように壁面に古い銅版画が飾られた歴史を感じさせる会議室が会場となった。会議は2日間とも朝9時から夕方5時まで行われ、タフな会議であったが、会場を提供されたProf. Tedeschiの気配りされた議事進行と委員全員が率直に意見を述べあう雰囲気とで、筆者にとって大変刺激に富んだ委員会であった。