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国際会議報告

 

国際船舶海洋構造会議 特別タスク委員会出席報告

正員 矢尾哲也*

* 大阪大学大学院工学研究科

 

西暦2000年10月、国際船舶海洋構造会議(Inter-national Ship and Offshore Structures Congress; ISSC)が長崎にて開催される。本会議の日本開催誘致に当たり、西暦2000年は区切りの年であるので、実設計に役立つ情報の得られる技術委員会を新たに設けることを提案した。理事会ではこれを受けて、2つの特別タスク委員会VI.1およびVI.2を設けた。共に船体縦曲げに関係した委員会で、VI.1では船体梁に作用する極限外力を、VI.2では船体梁としての縦曲げ最終強度を取り扱っている。いずれの委員会も、設計指針の提案を特別タスクとして求められている委員会である。筆者は、VI.2「船体梁の最終強度」委員会の委員長を務めており、日本からは他に、仁保氏(三井造船(株))が委員を務めている。

前置きが長くなったが、委員会VI.2の第四回中間会議が、New YorkのABS本部事務所で7月1/2日開催された。この中間会議は、本来であれば4月末に開かれることになっていたが、直前になって全委員8名中New Yorkへ行けるのが、日本人委員2名と韓国人委員1名だけになったことが判明し、やむを得ず延期されたものである。委員会構成メンバーは、以下のとおりである。

Dr. O. C. Astrup(Norway)

Dr. P. Caridis(Greece)

Dr. Y. N. Chen(USA)

Prof. S. R. Cho(Korea)

Dr. R. S. Dow(UK)

Dr. O. Niho(Japan)

Dr. P. Rigo(Bergium)

Prof. T. Yao(Japan; Chairman)

 

今回の出席者は、Prof. ChoとDr. Dowを除く6名であった。7月1日午前9時に、ABSの本部があるWorld Trade Center Building 105階の会議室に集合する。開催地を代表してDr. Chenから歓迎の挨拶があった後、会議が始まる。

前回議事録を含めて、14の資料が提出された。前回議事録は、一部語句の修正を行った後、承認された。続いて、委員会報告書の内容について、目次の順番に従い討論が行われた。

本委員会は先にも述べたように、船体の縦曲げ最終強度を対象としているが、委員会には強度評価のための設計指針の提案が求められている。そこで、委員会では解析法評価を目的として、まず、船体横断面および横断面を構成する防撓板を対象として、比較計算を実施した。委員以外にも正岡氏(大阪府立大学)に、理想化構造要素法を用いた計算を依頼している。

防撓板に関しては、防撓材で囲まれた局部パネルの幅を一定とし、アスペクト比を2種類、板厚を5種類変化させた。また、防撓材としてflat-bar、angle-barおよびtee-barの3種類、それぞれ大きさも3種類変化させた。以上の90ケースで、溶接残留応力がある場合とない場合の2ケース、合計180ケースを対象とした。用いられた計算法は、有限要素法、理想化構造要素法および簡易計算法である。簡易計算法には、平均応力〜平均ひずみ関係を近似的に求める方法と、実験結果に基づく評価式を用いて最終強度を直接計算する方法がある。

一方、縦曲げ最終強度の比較計算の対象としたのは、Double Hull VLCC、 Single Hull VLCC、Bulk Carrier、Container Shipおよび委員の1人のDr. Dowが縦曲げ崩壊試験を実施したフリゲート艦の鋼製1/3縮尺模型の、合計5体である。計算には、理想化構造要素法および簡易計算法が用いられた。

 

 

 

 

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