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障害者・高齢者向けモデル車輌デザインに関する調査

 

1. 事業の目的

 

わが国は現在、65歳以上の高齢者人口が約15%に達し、今後、ますます高齢化の進行が予測されている。また、ノーマライゼーションの理念の浸透・普及とともに身体障害者の社会参加の機会が増大している。それに伴い、高齢者・心身障害者等のいわゆる移動制約者の交通手段確保が大きな社会的課題になっている。

移動制約者の人々が公共交通機関を利用して移動する際に、安全かつ身体的負担が従来より軽くなるような車両構造に関するモデルデザインについては、平成元年度に3年間の調査研究成果としてまとめた『心身障害者・高齢者のための公共交通機関の車両構造に関するモデルデザイン』がある。同モデルデザインでは、鉄道・バス・タクシーの車両構造について、バリアフリー化を中心に心身障害者や高齢者にとって利用しやすい乗降口、車内設備・案内装置等の工夫を多数提示している。

しかし、同調査から既に10年が経過し、車両構造のバリアフリー化等に関する技術は、ノンステップバスの実用化に代表されるようにめざましい進歩を遂げている。

そこで本調査では、10年ぶりに同モデルデザインの内容を見直し、現在及び近未来の技術力で達成されうる鉄道・バス・タクシーのユニバーサル・デザインの策定・提示を目指すものである。

 

2. 本事業の計画と調査研究内容

 

(1) 事業の計画

本調査は、2カ年計画で実施する。11年度は、鉄道・バス・タクシー等の車両構造の改善点に関する国内の利用者に対する要望調査、欧米の先進事例調査、構造改善のコンセプトの検討を行う。12年度では、車両構造改善の部位別、設備項目別の「ラフスケッチ」を多数作成し、検討を重ねた上で最終的な「姿図」(モデルデザイン)を作成し提示する。

上記の調査計画を受けて、平成11年度では次の調査項目を実施した。

 

(2) 11年度の調査研究内容

I 対象範囲(人、交通機関)の検討

II 車両構造の改善点に関する利用者要望調査

III 車両構造の改善点に関する事業者要望調査

IV 欧米の先進事例調査

V 構造改善に関するコンセプトの検討

VI まとめと今後の課題

 

3. 対象範囲(人、交通機関)の検討

 

前回(平成元年度)調査から10年が経過し、本モデルデザインの対象範囲(人、交通機関)についても見直しの検討を行った。

その結果、対象者については、前回調査では、高齢者と心身障害者の区分であったが、今回は、障害者を「視覚障害者」「聴覚・言語障害者」「肢体不自由者」「内部障害者」「知的障害者」に区分して、それぞれの対応を検討する事となった。

 

 

 

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