長期輪送需要予測に関する調査
1. 調査研究の目的
本調査は、21世紀初頭の交通運輸に係わる政策課題の積極的な掘り起こし及び交通運輸政策の検討に資するため、国内・国際の旅客と貨物に係わる将来輪送需要の推計を行うことを目的とする。
2. 予測モデルの基本的考え方
21世紀初頭の交通需要を予測するため、交通需要予測モデルを構築した。このモデルの基本的考え方は以下の通りである。
(1) 交通需要予測モデルの対象
交通需要予測モデルの対象は以下の通りである。
・対象年:2010年
・対象地域:原則的に日本国内(地域内、地域間)ならびに日本と諸外国との間における交通
・対象交通:旅客と貨物の両方
・対象とする事象:社会経済フレームや交通サービス条件は所与とした上での交通需要
(2) 交通需要予測モデルの特徴
今回構築したモデルの特徴は以下の通りである。
・モデルの対象が網羅的であること
国際・国内の旅客・貨物を対象とし、網羅的に交通需要を予測できる
・モデルに使用するデータ根拠をできる限り明確にしていること
モデル中に使用されるデータを十分に吟味し、できる限り公的機関等によりオーソライズされたデータを使用している
・四段階推定法によるアプローチを採用していること
既に各種計画策定等で広く採用されている四段階推定法を採用し、モデルの信頼性が高い
・統合的なモデルを目指していること
四段階推定法の各ステップ間をアクセシビリティ変数で連結する統合モデルを構築した
・トリップデータを用いていること
純流動調査のデータを使用することで、真の発着地間の需要を予測できる。ただし、最終的に純流動量を総流動量に変換している。
3. モデルの基本構造
モデルは、旅客需要予測モデルと貨物需要予測モデルに分類できる。
(1) 旅客需要予測モデル
1) 国内旅客需要予測モデル
・国内幹線旅客需要予測モデル
国内207ゾーン間の旅客流動を予測するモデル。業務目的、観光目的の2目的についてモデルが構築された。生成交通量予測モデル、発生集中量予測モデル、分布交通量モデル、交通機関分担モデルから構成される。対象とする交通機関は、航空、鉄道、幹線バス、乗用車である。
・国内地域内々旅客需要予測モデル
全国の都道府県レベルを対象に内々交通量を予測するモデル。通勤、通学、業務、私事の4目的についてモデルが構築された。