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3 乗組み基準の特例

 

政令の定める乗組み基準は、類型化された船舶について規定しているものであるから、個々の船舶に対して具体的にこの基準を一律に適用すると、必ずしも適当でない場合がある。

そこで運輸大臣は、船舶が特殊の構造又は装置を有していること、航海の態様が特殊であること、その他の事由により、乗組み基準によらなくても航行の安全が担保できると認める船舶については、船舶所有者の申請により、乗組み基準によらないことを許可することとなっている(法第20条第1項)。この許可を受けた場合は、運輸大臣の指定する船舶職員を乗り組ませなければならず、さらに、運輸大臣が条件又は期限を付した場合には、それに従わなければならない(法第20条第2項)こととなっている。

1) 乗組み基準の特例が認められる船舶は、具体的には次のような場合である(規則第63条)。

1] 船舶が特殊の構造又は装置を有している場合(同条第1号)

具体的には、水上用エアークッション船、同一人により操舵及び機関の運転ができる船舶、潜水調査船、石油掘削船、起重機船等である。

2] 航海の態様が特殊な場合(同条第2号)

具体的には、随伴航行する船舶、総トン数20トン以上の外洋レーシングヨット等である。

3] 入渠し、又は修繕のため係留している場合(同条第3号)

具体的には、一時航行の用に供しない船舶である。

4] 本邦以外の地を根拠地として専らその近傍において漁業に従事する場合(同条第4号)

具体的には、遠洋かつお・まぐろ漁船、南米北岸海域における遠洋底びき網漁業に従事する漁船である。

5] 日本船舶を所有することができない者に貸し付けられた日本船舶に、STCW条約の締約国が発給した条約に適合する資格証明書を受有する者が乗り組むこととされている場合(同条第5号)

具体的には、いわゆるマルシップである。

6] 上記の場合のほか、乗組み基準において考慮された船舶の航行の安全に関する事項に照らし、特殊であると運輸大臣が特に認める場合(同条第6号)

具体的には、無線電信施設の非強制船舶A3水域又はA4水域を航行する漁船、A3水域のうち沿海区域を航行する旅客船、帆船から汽船に登録替えされた船舶等である。

2) 特例許可の申請先

法第20条の特例許可の申請をする者は、規則第15号様式の乗組み基準特例許可申請書を、船舶所有者の住所地を管轄する地方運輸局長(船舶所有者の主たる事務所の所在地が本邦外にあるときは、関東運輸局長。

 

 

 

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