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海上警察に関する国内法制

―最近のフランスを素材として―

 

立教大学法学部教授 兼原敦子

 

1. はじめに

 

フランスは、ここ15年ほどの間に、領海警備に関連をもつ国内法制の整備を進めている。

同国は、まず1985年2月6日に無害通航に関するデクレ*1を制定して、1982年国連海洋法条約18条及び19条の解釈に関して、少なくとも一定程度には、自国の見解を明らかにしたといえる。それに加えて、1994年7月15日には、海上における強制措置および実力の使用に関する法律*2、1995年4月19日には、1994年法を適用するに際しての実力の使用に関するデクレが、*3 各々採択されている。さらにフランスは、1996年4月29日には、1988年の麻薬及び向精神薬の違法取引に関する国連条約上の執行権の行使のために、国内実施立法*4を行っている。そして、この1996年法は、1994年法と1996年法を統合する諸規定を有しており、それによって1994年法及び1995年のデクレと1996年法は、海域における実力の行使を含む執行権行使に関する法制として統合されることになる。

本稿では、このようなフランスの国内法制を素材として、領海における海上警察に関する国内法制を中心として考察することにしたい。したがって、1996年法は、おもに、公海上の執行管轄権の行使の問題に関わる法であるので、補足的に参照するにとどめることにする。*5

 

 

 

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