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b. バイオモニター

微生物を環境監視のモニターとして利用するために、バイオモニターが考案されている。例えば、ビブリオフィッシャリーという発光細菌からラックス(LUX)遺伝子という発光遺伝子を取り出し、石油を分解する微生物の中に入れることにより、石油が拡散した際に、その石油分解微生物が発光してモニターとして使用することが可能となる。また、重金属分解菌とこの遺伝子を一緒にして、光ファイバーで光を検知することにより、重金属の汚染がどの程度かをバイオモニターで検出する試験がすでに実際に行われている。

米国のテネシー州では、水銀、芳香族炭化水素、多環性芳香族炭化水素の検出などの検出に対して、バイオモニタリングが実際に行われている。バイオモニタリングでは、機械的にまだ測定できない環境測定のモニタリングが可能である。

 

2] 吸着剤

大分県産業科学技術センターでは、海上での原油流出に対して、杉の樹皮で重油を吸い取るというアイディアが考案され、1999年9月に公開実験がなされた。実験では、製材の際に出る樹皮が木綿製の網で包まれ、幅50cm、長さ10mのシートとして、プールの水面に張られた。そこで重油2_がプールに流し込まれたが、5分後にシートを引き上げたところ、ほとんど全ての重油がべったりと付着している様子が確認された。

この実験に先立ち、天然の廃棄物としておがくずやもみがらなど10種類が試されているが、杉の樹皮が際だって有効であり、一般の吸着剤として用いられているポロプロピレン繊維とほぼ同じ効果をもつことが示されている。杉の樹皮は国内で年間約50万m3発生するが、大半は焼却されたり、埋めたりして処分されている。

実用化されれば、現在使用されている吸着剤よりはるかに安価で、廃棄物の活用にもなり、環境にやさしい技術になり得る。今後、海上災害防止センターとの共同研究により、海上での実験も進められていく予定である。

 

3] 光触媒

光触媒は我が国オリジナルの先端技術であるが、最近では特に環境浄化への応用研究が活発に行われている。これまでにいくつか商品としての実用化もされている。また、この分野の研究は我が国が世界を圧倒しており、特に生活空間にある微弱な紫外光を利用した抗菌・防汚の分野は、我が国でのみ研究が進んでいる。現在研究が活発に行われている光触媒の応用分野としては、空気浄化(脱臭、NOx除去)、水処理(廃水処理、土壌処理)、抗菌・防汚・防曇、医療応用(癌の光化学療法)などが挙げられる。

 

 

 

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