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表3.2.3-1 超音波トランシーバー及びSCUBAPHONの仕様

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2] ディジタル通信

ディジタル通信は、音響トランスポンダヘのコマンドの通信や、無人探査機の制御やデータ通信に使用されている。これまでに開発された高速データ通信システムの例を表3.2.3-2に示す。これらの装置の実現例としては、「しんかい6500」の水中伝送装置および双方向音響データ伝送装置が挙げられる。これらは共に海洋科学技術センターにより開発されたもので、水中画像伝送装置は、6,500mの深海からカラー画像を8秒毎に伝送することが可能となっている。なお、水中通信の課題の一つに、水平方向の通信(特に浅海面)でのマルチパス(多重経路)により生じるノイズがある。これらのノイズ対策としては、種々の方法がある。例えば、ビーム幅の狭い送信ビームと受信ビームが常に対抗するように制御して、一つの経路のみ処理する方法(適応ビームフォーミング)を利用したり、変調方式に、情報の区別に異なった周波数を用いているためマルチパスなどのノイズに比較的強いFSK(Frequency Shift Keying:周波数転換)方式を採用している。

 

(3) 今後の展望

 

海中でのコミュニケーションは、高速でかつ安定な通信装置の開発が目指されており、その傾向は今後も継続され、地上と同様にディジタルデータ通信の発展が期待される。その際、特に、水平方向のマルチパスが課題であり、信号処理によるマルチエコーキャンセリングなどの技術開発が重要である。一方、陸上での通信分野のアナロジーで考えれば、携帯電話の小型化および高機能化などにみられるように、海中においても通信装置の小型化および高機能化(センサ機能との融合など)が期待される。その際、3.2.4項で示すマイクロシステムテクノロジーが大きな役割を果たすものと考えられる。

 

 

 

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