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北極海航路?東アジアとヨーロッパを結ぶ最短の海の道?

 事業名 北極海航路開発調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


米国とソビエト連邦の歴史的な論争

米国はNSRの法制問題に対して一貫して反対の立場を取っている。また国連海洋法条約も批准していない。両国の北極海に関する関係の中で、NSRは最も議論を呼んでいる問題の一つである。海峡の通航権に関して両国は両極端な立場を主張している。即ち、ロシアは基線に囲まれた海峡は内水(Internal Water)と宣言しているが、米国は氷結している国際海峡は通過通航権を有すると主張している。両国は安全保障を確保するために各々の立場を正当化していると言える。

Vilkitskiy、Shokalskiy、Dmitriy Laptev、Sannikov、Eteriken、Yugorskiy Shar、Kara Gate、Red Army Straitsなどの主要海峡は基線から12海里以内の幅に包含されている。また、歴史的にもロシア以外の船が通行した例は希にしかない。海峡が他国の領海に接続し、海峡の通行が他国の領海に行くために必要な場合には国際海峡とみなされる場合があるが、これらの海峡は該当しない。これらの海峡を国際海峡とし通過通行権を主張する米国の立場を支持する根拠は弱く、ロシア側の解釈を支持する意見が多い。また米国は、内水を主張するカナダ北極海の通航規則であるCASPPRにも一貫して反対の立場を取っている。これは海洋法条約を批准していない米国の政策と合致するところである。

 

4.3.7 まとめ

 

NSRを利用する船舶が必要とする運航手続きと、その背景にある法令規則を紹介してきたが、利用する船社の利便性を必ず満足するものとは言えない。NSRの利用を4カ月前に申請するのも、不定期船の契約がそれよりも短期間で決まる現状に合致していない。NSRの所要航行時間を知る唯一の手段である氷況データも無償で公開されていない。どうしても氷況の事前データあるいは予報を知りたいユーザーは、有償でAARIなどから入手する必要がある。契約などの面倒な手続きを考えると即時の決断が必要とされる海運マーケットの現状からは、NSRの実用的な利用はまだやや遠い絵と言わざるを得ない。NSRの通行料も4.4節で解説しているようにスエズ航路と比較して格安と言う訳でもなく、高価な通行料を支払っても、NSRの通過時間が保証されている訳でもない。NSRの利用によりロシア側がユーザーに保証できるサービスを明確にして行く対応がロシア側に望まれる。現状は、NSRを開放するに当たり、取り敢えず必要な法整備を図った段階であろう。長年掛けて構築してきたNSRのインフラの老巧化が顕在化しつつある。完全にインフラが消滅すれば再建に、今以上の多大な投資が必要であるとの見方もある。外国船の試験的な利用を通じて、船社の利便性に応えるNSRの運航システムおよび法制を改善することが急務である。

 

 

 

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