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北極海航路?東アジアとヨーロッパを結ぶ最短の海の道?

 事業名 北極海航路開発調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


4.3 運航手続き

 

本節では、外国の商船がNSRに入るために必要な手続き、船としての具備すべき要件について述べる。一般に外国船が他国の領海を航行する場合は、無害通航権が適用され事前の申請、船舶検査は必要としない。しかしながら、NSRは苛酷な氷海域であるために、環境保護を目的として、1982年に採択された国連海洋法条約(United Nations Convention on the Law of the Sea:UNCLOS)を法解釈の拠り所とし、ロシア政府は、NSR通航船の事前の申請手続き、通航船の構造的な技術要求、船員の氷海航行に対する経験、航路管制、砕氷船によるエスコート義務、刑罰などを規定している。1990年にソビエト連邦、商運省により承認された"Regulations for Navigation on the Seaway of the Northern Sea Route"(英文)に、NSRを通航する船舶に適用される基本的な事項を規定している。1996年には約400ページに及ぶ英文の"Guide to Navigating through the Northern Sea Route"を発行し、航路標識、海峡進入時の目標など航路に関する詳細な情報を提供している。またNSRに関する関連規則、氷海域の航行技術なども同書に併載し、利用者の便を図っている。これらのロシア政府が独自に制定した規則は、カナダの北極海諸島の環境保護を目的として制定したカナダ北極域船舶汚染防止規則(Canadian Arctic Shipping Pollution Prevention Regulations:CASPPR)に次ぐものであるが、必ずしも全てが国際法に従っているものではなく、一部には国際法から見た合法性についての批判もある。本節では上記の"Guide to Navigating through the NSR"から抜粋した通航手続きと技術要求などの基本的な知識を纏めた。またロシア政府が制定している諸規則の国際法から見た問題点について触れる。

 

4.3.1 運用組織

 

ソ連時代の中央集権的な経済システムと防衛戦略の恩恵を受けNSRは開発されてきたが、1991年、ロシア連邦の時代が始まり市場原理の導入とともにNSRの運用に大きな変革が起きている。現在では、大きくは連邦政府、地方政府、民間会社の三組織がNSRの運用に関与している。但し、その関係はロシア特有の組織だでであることに留意する必要である。連邦政府レベルでは、運輸省に属する北極海航路局(Administration of the Northern Sea Route)、港湾局(Marine Administration of Ports)、環境省に属する北極南極研究所(Arctic and Antarctic Research Institute:AARI)等が主な機関である。船会社などの民間組織には国家代表(State Representative)が派遣され経営に関与している。政府レベルの責任として、氷況、気象情報を通じての安全性の確保、原子力砕氷船の維持、NSRにつながる河川航路の維持に対する財政支援などを行うことになっている。具体的には、NSRの行政を司る局である北極海航路局が、NSR関連の法制発行、安全政策の立案、民間船社に対する物資の輸送、砕氷船の運航命令、砕氷船の建造、保全、外国船に対するNSR利用の許可、科料(NSRの通行料)の徴収などを行う。港湾局は政府の所有インフラである桟橋、タグボート、砕氷船、パイロットサービス、無線局などの管理責任を負っている。AARIはNSRの氷況データを収集し氷況マップを発行する役割を担っている。

各地方の基礎的なインフラの整備は各地方が責任を負うことになっており、NSRにつながる内陸の河川交通インフラ整備に対する責任は、該当する地方政府が負うことになっている。このために多くの地方政府は、設立された民間船会社や港湾ターミナルの運営会社などに出資する形でインフラ整備を行っている。

 

 

 

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