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北極海航路?東アジアとヨーロッパを結ぶ最短の海の道?

 事業名 北極海航路開発調査研究
 団体名 シップ・アンド・オーシャン財団  


4.2 航路及び運航支援

 

船舶の運航の安全性及び経済性を決定する第一の要因は、その船舶が通過する航路の地理的特徴並びに気象・海象等の自然環境である。また、航行支援のための航路上の各種インフラストラクチャーあるいは航路情報提供システム等の整備の程度も、航路の利便性を大きく左右する。本節では、NSRの特徴及び航路の選定について述べた後、これを航行する船舶に対する航行支援施設のためのインフラストラクチャー・情報提供等について記述する。

 

4.2.1 航路の特徴及び選定

 

(1) 自然環境及び地理的特徴

NSRの範囲及びその通過海域については、NSRの航路としての利用目的により、いくつかの捉え方があるが、ここではロシアの"The Regulations for Navigation on the Seaways of the Northern Sea Route"による定義に基づいて議論を進めるものとする。これによれば、NSRはノバヤゼムリヤとベーリング海峡を結ぶ航路であり、その通過海域には、西から、カラ海、ラプテフ海、東シベリア海及びチュクチ海が含まれる。また、この海域の西側に位置し、これらの海域と北大西洋とを接続するバレンツ海についても、必要に応じて言及することとする。

他の航路と比べた場合、NSRの特徴の第一はその自然環境の厳しさにある。NSRが通過する海域のほとんどは北極圏に属し、他の航路に比べて極めて寒冷な環境にある。この低温環境は、船体・各種装備への着氷の発生、乗員の作業性の低下、鋼材等の靭性の低下、パイプ内部等の液体の凍結、貨物の保温等々、通常海域とは異なる問題の発生原因となる。また、低温以外にも、高緯度海域を通過する航路であるために、極夜における視程の低下、磁気コンパス等への影響、通信衛星によるカバー率の低下、等の問題も発生する。このようにNSRにおける航行に対しては、低温並びに高緯度という条件の下、他の航路には無い厳しい環境が課せられることとなるが、最大の問題は、航路上における氷の存在である。NSR上の氷況については(2)で述べる。

NSR上の気象・海象は、季節・海域等により大きく変化するが、全体を大きく西部・中央部・東部の3領域に分けると、それぞれ以下のような特徴がある。

●西部(バレンツ海からカラ海南西部)

メキシコ湾流の影響を受け、比較的温暖な海域。特に、バレンツ海沿岸域は厳冬季においてもほとんど無氷状態が保たれる。これに面したムルマンスクは不凍港である。

●中央部(カラ海東部からラプテフ海を経て東シベリア海の西部)

大陸性気候及び極点周辺の冷水及び氷野の影響を受けて寒冷であるとともに、大河からの大量の淡水の流入のため海氷が発達しやすい。

●東部(東シベリア海の東部からチュクチ海)

北太平洋からの比較的温暖な海水の流入の影響を受けるため、中央部に比べると海氷の発達は穏やかである。

NSRの特徴の第二はその地形にある。NSRを構成する海域には、西から、ノバヤゼムリヤ、セベルナヤゼムリヤ、ノボシビルスク諸島、ランゲル島等の島々が存在し、航路の大半は、これらの島と大陸の間、あるいは島と島の間の海峡を通る(図4.2-1)。これらの海峡は一般に、狭隘であるとともに浅水域が多く、NSRを航行する際の難所となっている。

 

 

 

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