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3.3.4 降水と積雪

 

海氷上の積雪は、海氷の成長や融解を大きく支配する。また、氷域を航行する砕氷船にとっても、氷上積雪は船速や操船に大きな影響を受ける因子となる。

北極海は一年を通して弱い高気圧の中にあり、バレンツ海、時にカラ海にまでやってくるアイスランド低気圧の影響を除けば、嵐になることは希である。月別平均降水量の表を見ると、各地とも夏の降水量が最も多いが、それでも月40mmを超える所はなく、また、年間180〜250mm程度の降水量であることがわかる。

平坦氷上の積雪でも積雪深は場所によって大きく変化するが、北極海の海氷上の積雪深の概況をまとめると、次のようになる。一年氷の比較的平坦なところを選ぶと、NSRの大陸棚上では積雪深が0〜5cmの所よりも5〜10cmの所のほうが2倍くらい多いのに対し、アラスカ・カナダ側では両者がほぼ同程度で0〜5cmのほうが若干多い傾向にある。多年氷の上の積雪深は、100カ所以上の観測点でのヒストグラムをとると、平坦部では12〜18cm、氷丘脈の近くでは60〜100cmが最頻値であった。氷丘脈の近くは地吹雪が溜まるので、積雪深が増すが、氷丘脈域の4月の最大積雪深の分布を見ると、グリーンランド側で200cm、NSR海域側で140cmとなっているのがわかる。

 

北極海各地の月平均降水量(mm)(Radionov, 1997)

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4月の氷丘脈付近の最大積雪深(cm)(Romanov, 1995)

 

 

 

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