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3. 北極海航路の自然条件

 

3.1 北極の自然環境

 

3.1.1 北極海の地理

 

北極海は、ユーラシア大陸、北米大陸、グリーンランドに囲まれた面積およそ1,400万km2の海である。スカンジナビア半島とグリーンランドの間は1,400kmほど離れていて、深さ3,500mに達する深海平原が広がり、東部はノルウェー海、西部はグリーンランド海と呼ばれて北大西洋に隣接する。それに対してユーラシア大陸と北米大陸の間は、幅約80kmのベーリング海峡であり、ベーリング海を経て北太平洋につながるが、ベーリング海峡は最深部でも60mを超えない浅い海峡である。一方、カナダ北極諸島のエルズミア島とグリーンランドとの間は、幅約20km、深部の深さ約500mの狭い海峡であり、バフィン湾、デービス海峡を経て大西洋へと連なる。

北極海中央部は、水深およそ4,000mの深海平原で、最深部の水深は5,440mに達する。グリーンランドの北から北極点を通ってノボシビルスク諸島に向かう海底に、ロモノソフ海嶺(頂上部水深841m)があり、北極海の海底を北欧側とアラスカ側とに二分している。ロモノソフ海嶺とほぼ平行する海嶺が両側にあって、北欧側は北極中央海嶺(ナンセン・ガッケル海嶺)、カナダ側はアルファ海嶺と名付けられている。水深が1,000mを超える海域は北極海のおよそ7割で、残り3割は沿岸の広大な大陸棚である。ユーラシア大陸の大陸棚は沖合遠くにまで広がり、沿海は西からバレンツ海、カラ海、ラプテフ海、東シベリア海、チュクチ海と呼ばれる。北米大陸の大陸棚は岸近くに限られ、ボーフォート海、リンカーン海は共に1,000m以深の海域を含んでいる。

ユーラシア大陸側の大陸棚には、西からスバールバル諸島、ゼムリヤフランツヨシフ、ノバヤゼムリヤ、ヤベルナヤゼムリヤ、ノボシビルスク諸島、ウランゲル島などが沖合に存在する。北米大陸側は沖に離れた島はなく、カナダ北極諸島のバンクス島、クイーンエリザベス諸島、エルズミア島が、カナダ北岸の北極海を形作っている。

 

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北極海地形図

 

 

 

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