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・西淡町…以前は、フェリー待ちの車で阿那賀港の淡路フェリー乗り場付近の道路が渋滞していたが、昭和60年代にフェリーが廃止になり自動車交通になったため解消された。しかし、町内の車の量は増加。レジャーシーズンは、高速道路の各インターチェンジの降り口が渋滞となる。

・南淡町…県のまちづくり部が淡路地域全体を対象としたパーソントリップ調査を実施。明石海峡大橋開通後の通勤通学による交通機関の利用状況について調査で都市では5年に1回行っているが淡路島ではじめて。南淡町では700名を無作為抽出して行っている。

 

◇産業と流通

・島内の農業は3毛作。橋がかかることでコンスタントな流通が可能になった。悪天候による船の運行不順に左右されないですむ。玉ネギ、レタス、白菜、トマト、キャベツ、米など。

 

■産業

◇農業

・淡路島は温暖な気候に恵まれ、昔から農産物や海産物が豊富。由良から島づたいに奈良の都へ渡れたため「御食国(みけつくに)」として栄えた。

・現在でも第一次産業従事者の割合が多い。近年はみかん栽培や花卉産業も盛ん。阪神間では消化できないほどの収穫がある。

・無農薬野菜団地構想(南淡町)…当町の民間事業者が考案した未来型農業。野菜や花卉の植物工場をはじめ、農業に関する研究と地域の活性化や農業の発展を図り、農産物を通じて他地域との交流を広げていくことを目的とした農業団地構想で、計画面積は約200ha。

 

◇漁業

・洲本・由良周辺…規模の小さい漁協が数多く存在し(由良だけで3つ)、それぞれが顧客を持っている。一番良い魚は、船で岸和田に持っていく。

・南淡町…後継者難および漁獲量の減少で近年は不振。新しい漁礁を考えている。漁協は福良、南淡、沼島の3ケ所。名産品のハモは高知沖で獲れ、灘漁港に水揚げする。

・沖で仲買人が買うこともある。ハモ料理は町内の旅館・民宿で味わうことができる。

・西淡町…平成3年頃までは水準が高かったが、平成7年に漁獲量が大きく落ち込んた。以後徐々にではあるが、回復しつつある。バブル崩壊後、タイやヒラメなどの高級魚の価格が低迷している。町内では、わかめ、海苔の養殖が盛ん。しかし、後継者不足や海の栄養不足などにより減作を強いられている。

 

◇地場産業

●瓦(西淡町)

・西淡町は、日本で有数の瓦の生産地。特に津井周辺では、約400年前から瓦が生産され、2010年に400周年を迎える。

・昭和40年代の高度成長期に、全盛期を迎えたが、阪神淡路大震災で「瓦は重い」とのイメージを与え、住宅供給用は伸び悩み。現在は、建設資材等に活路を見い出している。

・津井にある西淡町産業文化センターは、瓦産業に関する資料の展示や実習研修のための施設。隣接する「西日本かわら技術学院」では、瓦葺き職人を養成している。

 

◇観光

・明石海峡大橋開通後、観光客の9割を団体客が占めるようになった。

・ホテルはほとんどが団体客対応。部屋は広く(平均1室8人)、客室稼動率ではなく収容人員稼動率を上げなければ、利益がない。

・団体客対応型のホテルでは、食事は一律にお膳で出すスタイルで、魚や野菜は同じ大きさのものを数多く用意しなければならない。地元では対応できないため、神戸まで買い付けに行っている。客側は、淡路島にいるのに地元の新鮮な食材が食べられないという矛盾がある。

・個人客対応のシステムに変え、新鮮な地元の魚や野菜を使って成功しているホテルもある。

・観光については徳島側との協力関係は特にない。

・今後はリピーターを大切にする姿勢をとっていくことが課題。

 

◇流通

・CoCo-net(洲本市)…昭和60年6月6日、地域の食材を地域で消費するシステムとしてCoCo-net推進委員会が発足。まず淡路牛を扱った。当時は低温流通のシステムがなくコストがかかりすぎて失敗したが、近年、技術が発達したので可能性が出てきている。

・洲本市第1次産業振興公社(洲本市)…淡路牛専門のレストラン「御食国」で地元の食材を使っている。近郊野菜も全て揃っている。

 

■海辺の使われ方とメンテナンス

◇海岸線の概要

・南淡町…灘地区と沼島は離島地域に指定されている。山が海岸線に迫り、海沿いには幅の狭い道路が続く。沼島は奇岩怪石、断崖絶壁が島を取り囲む。淡路島より歴史は古く、沼島水軍(海賊)、沼島の女郎伝説、船だんじりなど、海に関する独特の歴史文化が残っている。

・刈藻海岸(南淡町)…自然の砂浜が続く。地区集会所であるサンビーチ刈藻がある。公衆トイレも常設。

・西淡町…海辺は漁港や小さな港湾施設が点在し、その間に自然が残されている。

 

◇漁港・港湾

・南淡町…町内の港は5つ。灘、仁頃、沼島は漁港。福良、阿万は港湾。

・西淡町…町内の港は5つ。丸山、阿那賀、伊毘は漁港。湊、津井は港湾。津井港は石積みの防波堤をもつ県の港湾。以前は瓦の積み出し港だったため、港周辺には、現在でも瓦産業の倉庫が多い。瓦の出荷は現在はほとんど陸路で行われている。

 

 

 

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