b. 水流による拡散防止
消防ポンプによる棒状放水は、液の拡散面に直接放水することにより高圧の放射水によって液は攪拌され蒸発を促進させるが、ここでは拡散防止の手段として拡散範囲の外縁に沿って放水し水流をつくることによって回収処理に適した場所へ誘導する方法を検討する。
水流を拡散防止の手段として利用する場合は、流出物質を封じ込める場所があり、気象・海象状況が比較的穏やかな場合に有効な方法で、いかなる条件でも利用できる方法ではない。
封じ込め区域として選定する場所は、陸岸の凹部、防波堤の屈曲部等の利用が適するが、流出物質から発生する有害性ガスによる沿岸区域への被害が生じないよう住居区から離れた場所を選定する必要がある。
沿岸からの距離が遠く、封じ込め区域として陸岸等が利用できない場合でもオイルフェンスとの併用により拡散防止あるいは流出物質の厚膜化を図ることができる。
(4) 回収処理
1]油吸着材による回収
油吸着剤の材質はPP材が多く用いられ(他にパルプ材・植物性繊維)、種類により多少の差はあるが、浮遊性物質に対して有効性があることが判明している。
方法としては、流出処理と同様オイルフェンス等で拡散防止措置を行い、液層を厚くした後に吸着回収を行わなければならない。
吸着材による吸着は瞬間であり、また吸着後そのまま放置すると吸着させた物質は蒸発揮散するので吸着後は直ちに回収しなければ回収効率を低下させることとなる。
回収作業においては、海面からの回収時に物質の飛沫あるいは蒸発ガスの雰囲気の中での作業となるため、保護衣・呼吸具等対象物質の特性に応じた防護対策をとる必要がある。