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3. 浮遊性物質の防除法

 

(1) 防除作業の基本的考え方

浮遊性物質は、一般的に水面拡散速度が速く短時間で薄層化する場合が多い。

また、蒸発速度及び溶解速度の速い物質は蒸発降下速度及び溶解速度に見合う液層厚で水面拡散範囲がほぼ一定となる。

いずれにしても、ある蒸気圧(20mmHg以上)及びある溶解度の値以上を持つ物質は激しい蒸発及び溶解を伴いながら水面を拡散する。一方、海上流出初期は火気管理に重点を置き引火爆発による二次災害を防止することが第一となるため本格的な防除作業に着手するにはある程度の時間が経過することとなり、その間に浮遊性物質は消滅、あるいは薄層化し拡散防止及び回収等の処理を行うことは非常な危険と困難を伴う。

従って、ある値以上の蒸気圧あるいは溶解度を持つ物質は、基本的には火気管理を行いつつその物質の持つ輝散性あるいは溶解性による大気又は水中への自然拡散によるか、引火に注意しつつ攪拌等による拡散を促進させる措置を講じることが現実的な方法である。

ある値以上の物質は、大気又は水中への拡散により無害化を図ることとするが、この場合拡散課程において一時的に大気中の有害ガス濃度あるいは水中濃度が高くなり拡散範囲の危険性を増すことになるので、ガス濃度測定及び水質調査を継続的に実施し危険範囲を把握しておくことが必要である。

また、これらの危険範囲が沿岸地域等に影響を及ぼす可能性がある場合は、社会的に重大な危険を生じるため更に二次災害防止のための措置が必要である。

上記以外の物質(蒸気圧 20mmHg以下)は、海上流出後長時間に渡って海上に滞留する可能性があり、次のような流出状況にあっては積極的にその物質に適合した防除措置を講じる。

1]液及びガスの拡散が沿岸地域その他に被害を及ぼす恐れのある場合。

2]船舶等の流出源から流出が継続している場合。

3]液の拡散が継続中で拡散範囲が拡大する恐れのある場合。

4]長時間にわたり海上に滞留する可能性がある場合。

 

(2) 流出物質の確認とガスの危険範囲

1]流出物質の確認

有害物質の流出事故の発生情報を入手し防除処理に着手する場合、油流出事故の場合と同様事故の大要を把握することはもちろんであるが、特に流出した物質を正確に確認する必要がある。

2]ガスの危険範囲

浮遊性の物質は、海上流出した場合、拡散液表面から大気中へ揮散し危険性ガスを発生することがある。

 

 

 

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