ハ 結論
・散布装置による粒子状散布は、散布幅の油膜を分散処理する。
・ムース化油に対しては、重ね撒きを行うことにより、油塊の周辺部から油粒子が発生し、油塊が小さくなる。
・風速と散布圧力の関係は、状況により適切な調整が必要である。
(5) モニタリング
油処理剤で処理した油塊について、油処理剤の有効性を検討するためモニタリングを実施すべきである。油処理剤の散布作業中もモニタリングを通じて効果を検証する必要がある。
分散処理された油についてサンプル採取と分析を実施し、モニタリング・データを収集し、単純な全体濃度を決定するほか、必要に応じて詳細な成分分析を実施することも必要である。
(6) 油処理剤散布後の攪拌力の確保
自己攪拌型(セルフミキシング型)油処理剤を無希釈のまま散布したときは、波の作用以外の混合エネルギーを必要としないことから、この方法のみが航空機からの散布に適しているが、我が国にはこのタイプの油処理剤は、現状では実用化されていない。
したがって、我が国の現状の油処理剤(新型油処理剤を含む。)を散布した後は、船舶の航走波等による攪拌が必要となる。
(7) 油処理剤散布時の安全対策
油処理剤には、界面活性剤と溶剤が含まれているので、散布時その飛沫から皮膚、目、呼吸器等を保護するための基本的注意事項を守らなければならない。
散布時に装着すべき装具は、次のとおりである。
・全身を覆うプラスチック製作業服
・耐油製手袋
・顔面保護マスク
・耐化学薬品材料を用いた安全靴
顔面マスクは、通常安全帽の一部として取付けられている。顔面保護マスクの代わりに安全眼鏡を鼻、口マスクと併用することもできる。
(8) 油処理剤の取扱上の注意事項
油処理剤の取扱は、十分換気が行われ、熱、火気のない場所で行われなければならない。誤って油処理剤に触れ、又は油処理剤が目に入ったときは、相当時間清水ですすぎ、刺激がなお残っている場合には、医師の治療を受けなければならない。
1]火災の危険
多くの油処理剤には引火性があり、通常の引火性物質の取扱時の注意事項を守らなければならない。