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油に対する添加率は、通常1:3〜4(油処理剤:油)が理想であるが、粘度によっては1:1になることがあり、一般的には有効に分散する油の粘度は2,000cstといわれている。

・濃縮型は、通常型に比較して界面活性剤の含有比率が多く、50〜60%を占めている。溶剤は、外国の製品では、アルコール系又はグリコール系等が使用されているが、わが国の濃縮型では、通常型と同じ炭化水素系が使用されている例が多い。油に対する添加率は、1:5〜30となる。

炭化水素型、濃縮型共有効な分散効果を得るためには、散布後油と完全に混合させる必要があり、攪拌板や船艇の航走波により混合促進を図っている。

そこで、自己攪拌型油処理剤が開発されており、通常波の混合エネルギーだけで攪拌効果が得られるため、航空機からの空中散布用として使用されている。わが国では、現在開発途上にある。

また、わが国の排出油事故の特徴としてC重油等重質油の事故が多く、流出した油は、波浪によって短時間のうちに海水を取り込み、粘度の高いムース化油となり、回収処理が困難となり、また油処理剤による分散効果も得られない場合が多いことから粘度の高い油にも効果のある高粘度油対応型の油処理剤が開発された。この油処理剤は、海上災害防止センターと油処理剤メーカーとの共同研究によるものである。その概要は、添付資料を参照されたい。

 

(2) 油処理剤使用上の留意事項

油処理剤は、型式承認品等技術上の基準に適合したものでなければ使用してはならず、使用の際には特に次の点に留意しなければならない。

イ 次のような場合は油処理剤を使用しないこと。

・排出油が、軽質油(灯油、軽油等)、動植物油の場合あるいはタール状又は高粘度の油塊となっている場合

・水産資源の生育環境に重大な影響がある海域又は水深の浅い海域

ロ 油処理剤を使用する場合は次の事項に留意しなければならない。

・散布する場合は必ず散布器を使用すること。散布装置としては、船舶の場合泡ノズルや散布桿を使用するが、油処理剤の効果からは原液のまま散布桿により散布することが望ましい。また航空機の場合主としてヘリコプターによる農薬散布装置の活用、バケット式専用装置が使用される。固定翼機による散布装置は、国内には整備されていない。

・散布量に注意し、特に過度の散布にならないこと。

・散布後は直ちに攪拌すること。自然の波浪エネルギーにより分散効果の得られる自己攪拌型油処理剤が外国では開発されているが、国内では、現在開発研究を進めている段階であり、現在市販の油処理剤は、攪拌が必要である。

・できる限り風上から散布し、特に風の強い場合は、油面の近くで散布する等により、油処理剤の散逸を防ぐこと。

・散布作業に従事する作業員は、顔面その他皮膚の露出を避けること。

ハ 油処理剤の使用にあたっては、各地域ごとに関係地方公共団体、関係漁業者等と事前に協議し合意に達しておく必要がある。

 

 

 

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