2. 油回収装置等
海上に流出した油の回収のための装置として油回収装置及びこれらの装置を装備した油回収船が活用される。また、これらの専用資材及び専用船の他応用資材としてゴミ回収船、ガット船、浚渫船等の船舶や吸着材フェンス等が使用されている。
(1) 油回収方式
油回収装置は、その規模や回収方法により多くの形式のものがその原理から大別すると次の種類に分類される。
・吸入式
・付着式
・導入式
・その他の方式
(2) 油回収上の留意事項
回収に最適な装置や方法は、回収すべき油の状態、量、気象・海象等によることとなるが、一般的に留意すべき事項は次の通りである。
イ 海上の油の回収にあたっては、浮流油の厚膜化をはかるためのオイルフェンスによる集油、装置を使用した作業船等への油の回収又は一時貯留、バージ船、タンカー又は貯留タンク等の油受入装置の確保、及び陸上の処理施設等への搬入処理の一連の回収した油の処理システムを確保することが必要であり、一つでも欠落した場合には回収システムは成り立たない。
ロ 回収装置は、大別すると油の存在する海域を掃海しながら油の層を厚くしながら回収する方式(Advancing, Sweeping)と固定的にオイルフェンスで集めた油を回収する方式(Stationary)がある。各回収装置の性能・原理を理解した上で使用する必要がある。
ハ 使用する回収装置は、油の種類、漂流中の油の状態を十分確認して選択する必要がある。粘度の高い油やエマルジョン化した油に対しては油吸着式やスクリュウポンプ方式の回収装置を選定する必要がある。
ニ 回収にあたってゴミが装置に詰まると回収効率が低下するばかりでなく、回収作業自体を停止せざるを得ない状況となるので、あらかじめゴミ対策を講じておく必要がある。
ホ 回収装置を作業船に搭載して回収作業を実施する場合オイルフェンスにより、油の層を厚くしながら、回収するシステムがとられる。この場合回収作業船一隻でオイルフェンスを曳航しながら回収する方式、オイルフェンスを回収作業船を含む二隻で曳航する方式及び三隻の体制で回収する場合がある。二隻以上で回収作業を行う場合は、1ノット以下の低速で操船するため各作業船相互の連携が重要となる。