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Fig.1 4つの荷重成分

1) Fic

氷と翼との直接的なコンタクトによる荷重で、従来から干渉成分と呼ばれるものである。翼が氷片を切削・破壊するための力で、材料力学的・破壊力学的な力と位置づけられる。氷片の質量や水の破壊強度が干渉による荷重を決定する因子となる。

2) Fhydro

氷片が存在することにより生じる流体力学的な力であり、非接触荷重である。プロペラの直前に氷片が流れてくると、流場そのものが乱されるとともに、氷片のエッジで剥離が起き、速度場が変化する。さらに、氷片がプロペラのごく近傍にある場合、氷片と翼との間の間隙により流れが生じ、これによって大きな力が翼に加わることが指摘されている。また、ノズルプロペラの場合、ノズルの入口を氷片が塞ぐ閉塞状態もFhydroの大きな要因となる。

3) Finertia1

氷片及び砕氷片の慣性力本体による荷重である。氷と翼とが直接的に衝突すると、氷片は運動量変化を生じ、翼は反作用として慣性力の成分を受け取る。

4) Finertia2

氷片及び砕氷片の慣性力の付加質量による荷重で、氷片及び砕氷片が水中を移動するために生ずる。

 

2.2 実験による各荷重成分への分離方法

各荷重成分への分離のため以下の3種類の実験をおこなった。

1) 水中での氷片流し込み実験

氷海水槽の中でプロペラ単独動力計を設置し、 整形した模型氷の氷片を、流し込み装置(スライダー)によって模型プロペラに流し込み、氷片衝突日のトルク、スラストの変化を計測する。装置全体は、実船での標準的な砕氷状態での全身係数に合わせて前進させた。

 

 

 

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