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3. 雑感及び謝辞

 

今回のOMAE'99 国際会議開催地であるカナダ・ニューファンドランドは、日本との時差は約14時間、おおよそ地球の裏側である。にもかかわらず、当センターをはじめとする大学・企業関係者多数が日本からはるばる出席したことは、将来の日本の海洋工学にとって大変喜ばしいことであると思う。発表された内容は本質的な事柄に関わる重要なことが多く、本調査者を初めとする参加者すべてにとって非常に有意義な会議であったと確信する。また、決して多くの研究者が関っているとは言えない日本の海洋学の現状を考えれば、その道を代表する研究者・企業関係者に会う良い機会を得ることができた。

アメリカ・ボストンで訪問した二つの海洋調査機器メーカ、BENTHOS社とDeep sea systems internationals (DSLI) 社は、会社の規模や方針において好対照であった。市場そのものが小さい海洋調査機器分野において、自社工場に生産ラインを持つBENTHOS社の大きさは驚きであった。逆に総敷地面積でテニスコート2面はないであろうDSLI社において、ROV一式を自社開発していることにはべンチャー企業の底力を見せつけられ、感嘆せざるを得なかった。

この二社を調査するにあたって、Oceanstar system, INC.のJ.P.Fish氏に現地で案内して頂き、また彼との連絡をSEAの中川氏にして頂いた。ここにあらためてお礼を申し上げます。

ウッズホール海洋研究所と当センターは設立の趣旨・目標などの多くの点で類似点がある。が、現時点における調査研究活動の位置付けとその方向性には大きな違いがあるように感じた。ウッズホール海洋研究所では各個人の研究内容を設備と金銭面で後押しする形で、個人主義が強く、実にアメリカらしいやり方であると言える。その研究内容は総じて独創的で、大学における研究の延長線上にあるとも言える。対する当センターは、大きな目標達成の為に多数の人が役割分担をして計画的に推し進めていく事が主体で、個人には事務的作業が要求される場面が多く、日本が得意とするやり方と言えよう。どちらが優れているかを議論することはまったく無意味であるが、自分のような研究者の立場からみると、事務的作業に忙殺されることは決して有益ではないように思う。この点は大いにウッズホール海洋研究所を参考にすべきであり、我々の現在のあり方と照らし合わせて真剣に考えねばならない事と思う。

なお同研究所を訪問する際、当センターよりウッズホール海洋研究所に派遣されている研究業務部の田代省三氏に、お忙しい中さまざまなご協力をいただいたことを深く感謝いたします。

また本調査に際して、日本財団殿の全面的な理解を得て実施することが出来ました。心よりお礼を申し上げます。

 

 

 

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