日本財団 図書館


第三次海洋法会議の代表団が実施しなかったことは、現行の政治及び法的システムの基本的秩序に関する円滑な移行である。国家主権は一見包囲されたかのようであるが、主権国家は未だ存続している。実際に、沿岸海域の囲い込みは沿岸国の生物及び非生物資源に関する管轄権をコントロールできるようにしたが、主権国家はますます独善的になってきている。しかし、主権国家がどこまでそのような自由を享受し得るかを推し量ることは困難である。NEOに基づいた海洋資源開発のための努力は膨大なものである。それは長年、国連海洋法条約と連動し、恐らく将来、米国を国連海洋法条約に参加させることになろう。しかしながら同時に、この努力は、地球規模の管理に関する問題を解決するための大規模な多国間問題を考えている多くの者に、不快感を与えているということもまた事実である。

我々は、十分な検討を経ずして、旧来の海洋の自由という考え方から国連海洋法条約に示されている海洋管理に転換するわけにはゆかない。しかしながら、海洋管理は今日では主要な考え方である。国連海洋条約の規則を履行することと、不適当と判った時に、規則を改正することは、海洋問題について意思を決定する者の義務であると言えよう。我々は正にいま出発点に立っているのである。

(了)

 

1 The Law of the Sea: Official Text of the United Nations Convention on the Law of the Sea with Annexes and Index (New York: United Nations, 1983).

2 Robert L. Friedheim, Negotiating the New Ocean Resume (Columbia: University of South California Press, 1993), pp.267-359.

3 James K. Sebenius, 'Crafting a Winning Coalition: Negotiating a Resume to Control Global Warming', in Richard E. Benedick, et. al., Greenhouse Warming: Negotiating a Global Resume (Washington: World Resources Institute, 1991), p.71.

4 レジュームの実効性についての学術的な検討は、Marc A. Levy, Oran R. Young and Michael Zurn, 'The Study of International Regimes', European Journal of International Relations I (3), pp.267-330.を参照せよ。

5 Agenda 21 (New York: United Nations, 1993), Chapter 17 を参照せよ。

6 Krasnerは、「義務(obligation)」を「規範(norm)」として取扱っているが、本論においては重要な法的レジュームであることを言及しておく。何故ならば、多くの国際法学者は国家の義務をそのように解釈しているからである。

7 Robert L. Friedheim and William J. Durch, 'The International Seabed Resources Agency and the New International Economic Order', International Organization 31:2 (Spring 1997), pp.343-384; Stephan D. Krasner, Structural Conflict: the Third World against Liberalism (Berkley and Los Angels: University of California Press, 1985), pp.227-250.

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION