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パネルディスカッション

 

伊勢湾における防災と海洋情報が果たす役割

 

コンビーナー 永田 豊 (海洋情報研究センター所長)

 

パネルディスカッションは、講演者の藤原建紀・鈴木輝明の両先生に海上保安庁水路部沿岸域海洋情報管理室長柴山信行氏と第四管区海上保安本部水路部長宮本哲司氏を加え、海洋情報研究センター所長永田の司会で行われた。基調・特別講演のいずれもが、伊勢湾そのものの実態を中心に話されたが、シンポジウムの副題に「防災と海洋情報との関わり」とうたっていることもあり、先ず防災と海洋情報に関連して、実際に伊勢湾あるいは沿岸域において防災に直接関係した業務を行っている海上保安庁水路部の活動の紹介をする講演を、宮本哲司氏と柴山信行氏にお願いし、その後で他の方々にそれぞれの講演を補足する形で総合的に話していただいた。

 

第四管区海上保安本部の活動(宮本哲司氏の講演から)

海上保安庁は海上における安全の確保のため、救難・警備・環境・防災と幅広い活動を行っているが、これらと関連して必要とされる海の情報を扱っている。情報の流れは、1)海を測り情報を集めること、2)情報を整理すること、3)種々の方法(印刷物・無線・ファックス・インターネット等)で情報を提供すること、に要約することができる。ここではこの流れにしたがって、話を進める。

海上保安庁では、日本を囲む領海・経済水域等の海域を11の管区に分けて分担しているが、第四管区の分担は図1で濃く塗られた海域で、その面積は日本の国土とほぼ同じ大きさである。情報としては、港湾情報、漁場や海岸利用形態のような社会情報、あるいは海の深さ、流れ、潮汐、温度分布のような自然情報を収集することになる。図2は平成10年度末に第四管区に配備された20m型測量船「いせしお」の写真で、以前の船に比べて大型化され行動範囲が広がるとともに、最新鋭のマルチビーム測深機、超音波流速計(ADCP)等の調査機器、電子海図表示装置等の航海機器を搭載している。

 

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図1 第四管区の分担海域(黒塗り)

 

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図2 測量船「いせしお」

 

 

 

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