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そして緩和ケアを行うにあたってチームアプローチがなくてはならないことも知った。看護にはチーム力がとても大切で、情報の共有や共通理解の重要性を常々考えてきた。しかし、実情はなかなか意見がまとまらなかったり、カンファレンス自体を開けなかったりして問題が生じている。しかし、今回情報を共有し共通理解した上でアプローチすることの重要性を再認識し、またメンバーシップの要素と役割、不一致が起きた時のマネジメントの方法を学び、自分の内面の問題点と他のスタッフにアプローチする時の問題点が明らかになった。また他職種と連携を組む時の役割や大切にするべきことを知り、今の一般病棟での看護でも十分に生かしていこうと思う。

以上、講義での学びを簡単にまとめてみたが、まだまだ書ききれないほど多くの学びを得た。新しい知識を得たこともあるが自分の看護の振り返りとなり、裏付けが得られ自信がついたことも大きな収穫となっている。

 

実習での学び

 

3週間の講義のあと、東札幌病院で2週間の実習を行った。講義で多くのことを学び、その知識と体験を統合させるための実習である。実習目標を以下のように設定した。

1) 実習施設の理念を理解し、ホスピスがどのような役割をもつのか理解する。

2) 実習施設で行われている緩和ケアの実際を理解する。

3) ホスピスにおけるチームアプローチとその中での看護婦の役割を知る。

1)については、実習施設ではPCUが病院のシンボルと考えられており、病院全体で緩和ケアの気持ちを持って医療に臨み、その理念がスタッフもしくはボランティアの一人一人に浸透していることを実感した。また受け持ち患者のケアを行うことで2)を実施した。これにはとても苦心した。それまでの講義や学びにより緩和ケアが何となくわかったような気がしていたのかもしない。それが受け持ち患者と対峙した時、どう関わっていけばよいのか、今まで学んできたことを短期間でどう生かせばよいのかわからなくなってしまった。しかしアドバイスをいただいたり、日々のケアと学習を照らし合わせるうちに対象への関わり方や自分自身の課題に気付くことができた。また症状マネジメントに参加させていただき、その有用性を実感することができた。3)については、実習施設ではチームアプローチが大変生かされており、その利点を目の当たりにした。各職種の方々から話を聞いて、その役割や大切にしていることを知り、また受け持ち患者を通してチームがどのように関わっているかを実際に体験することができた。そしてチームの中で看護婦がどのような役割をもつかということを学んだ。

 

まとめ

 

今回の研修で今までにはないほどの揺さぶりを体験した。今まで悩んでいたことの解決の糸口がどんどん出てきたり、新しい知識を得たり、自分の考えの裏付けができたり、実習で動揺したり、これから消化していかなくてはならない課題がたくさんできた。緩和ケアの奥の深さを知り、それを学ぶ心構えができたというところが真情である。これからも壁にぶつかって行き詰まることも多々あると思うが、ここで学んだことや倫理的基本に立ち返り問題と向き合っていく姿勢を守り、またこの貴重な時間を共に過ごした研修生の皆とのネットワークもどんどん利用していこうと思う。

 

おわりに

 

このたびは、日本財団のご支援により、このような貴重な研修を受けさせていただくことができ、心から感謝いたします。ありがとうございました。

 

 

 

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