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PROGRAMME NOTES

 

バッハ/ソナタ 第1番 ト長調 BWV.1027

 

バッハ(1685〜1750)は、3曲の「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ」(BWV.1027〜1029)を残している。この3曲のヴィオラ・ダ・ガンバのパートは、ヴィオラやチェロで弾くことも出来、現在ではヴィオラ・ソナタあるいは本日のようにチェロ・ソナタとして演奏されることも多い。

ヴィオラ・ダ・ガンバはヴィオール属の低音楽器。チェロのように構えて弾くが、音はそれほど大きくはなく、その面で次第にチェロに人気をうばわれていった。バッハの生きた時代は、丁度チェロとヴィオラ・ダ・ガンバが激しく勢力争いをしていた時代であり、そのあとはチェロが優位に立っていった。

バッハの「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ」は、ガンバと、チェンバロの右手と、チェンバロの左手の、3者が拮抗し合うように書かれている場面が少なからず見られる。その部分は、チェロとピアノで演奏されると、一層3者のからみが明瞭、明解に聴き取ることが出来るようだ。作曲年代は不明だが、ケーテン宮廷楽長時代の作と推定されている。この第1番は、ト長調で書かれており、伸びやかで明るく、安らぐものも感じられる。第1楽章:アダージョ、第2楽章:アレグロ・マ・ノン・タント(フーガ)、第3楽章:ホ短調に転じてのアンダンテ、第4楽章:ト長調に戻ってのアレグロ・モデラート(フーガ)の、4つの楽章から成っている。

 

バッハ/ソナタ 第2番 ニ長調 BWV.1028

 

バッハは1717年8月から1723年2月にかけて、ケーテン宮廷の楽長として働いた。ケーテンの領主レオポルトは、自らチェンバロやガンバを弾く好楽家であり、宮廷楽団には優れた奏者たちが集められていた。それゆえバッハは、この時代には器楽曲づくりに夢中になり、ブランデンブルク協奏曲や、ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンやチェロのための無伴奏曲など、多くの器楽曲の名作を、次々に創っていった。3曲の「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロによるソナタ」も、この時代の作とされている。第2番は第1楽章:アダージョ、第2楽章:アレグロ、第3楽章:ロ短調に転じてのアンダンテ、第4楽章:アレグロ、という4つの楽章から成っている。基本的な調性はニ長調であり、明るくて楽しいが、技巧的な面で難曲ともなっている。

 

ベートーヴェン/ソナタ 第3番 イ長調 Op.69

 

ベートーヴェン(1770〜1827)はチェロ・ソナタを5曲残している。第1番と第2番は作品5として、1796年25歳のときにプロシャ王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世のために作曲された。第3番は1808年という中期の作であり、残る2曲つまり第4番と第5番は1815年という後期に近い時期に書かれた。

ここで演奏される第3番は、中期傑作時代の作だけに、ピアノとチェロの扱い方は緻密でありつつ濃厚でもあり、充実した世界をみごとに創造した名作として高く評価されている。ピアノとチェロの、2者を対等に扱かったデュオ・ソナタは、まさにこの曲から歴史が始まったとも考えられよう。第1楽章:アレグロ・マ・ノン・タント、第2楽章:スケルツォ、第3楽章:アダージョ・カンタービレ(序奏)〜アレグロ・ヴィヴァーチェ、という3つの楽章から成っている。

 

ベートーヴェン/ソナタ 第5番 ニ長調 Op.102-2

 

作品102として残されている2曲のチェロ・ソナタは、1815年ベートーヴェン44歳という中期から後期への過渡的時期に作曲された。ここで演奏される第5番は作品102の2、であり、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ全5曲の中では最後の作品ということになり、内容的には最も崇高なものとなっている。

第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ、第2楽章:アダージョ・コン・モルト・センティメント・ダフェット、第3楽章:アレグロ〜アレグロ・フガート、という3つの楽章から成っている。

この内、第2、第3楽章は続けて演奏される。つまり、情緒ゆたかな、天国的とも言える、ゆったりした第2楽章が終ると、すぐに上昇するスケール(音階)的な音形があらわれ、そこから第3楽章に入る。第3楽章は4声のフーガであるが、緊張の中にも明るさがあり、楽しさすら感じられる。

 

 

 

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