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海に親しむ人の新しい海の知識

気象解説家

島川甲子三

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★海上には道路が無い ?

勿論海上には航路があります。しかし陸上の道路と比べて、路線の区別や標識はごく少なく、混雑の程度も格段に違うので、レジャーの船はとても自由で快適なドライブが楽しめそうです。ですから、海上の交通法規を守ってさえいれば、陸上のドライブのような注意や緊張は要らないと思われ勝ちです。ところが航路であるなしに関わらず、海上は何処でも波が立ち、風が変わり、流れがあります。すなわち海上には舗装道路は無いのです。

風が頼りのヨットをはじめ、レジャーの船も刻々変わる風の変化に無関心ではいられません。風は波を起こし、波を運び、波を捻じ曲げては船を襲い、船全体を風で流そうと働きかけて来ます。風が弱くても、海の水には常に流れがあります。干満の差による基本的な流れと、風による流れが加わり、海底の起伏や海岸線の形状に影響されて、複雑な潮流が生まれますし、それらは刻々と変動します。こう考えてみますと、船にとって今通っている航路は、それまで海に作用していた条件で成り立っている航路を行く訳です。従って、天気(視程、風向風速、現在までの天気経過、台風や低気圧の動静など)や天文潮汐、海岸地形(岬・海峡・海の深さ)と航路の関係を承知していないと、安全な航行は出来ません。

海には舗装道路が無いので、陸上の車に比べて、船はそれほど安全で自由ではありません。

 

★日本付近の海流について

日本近海の海流(海面近くの流れ)は大きく分けて[第一図]のように八つに分類されます。? 黒潮・? 黒潮続流・? 黒潮反流・? 対馬暖流・? 津軽暖流・? 宗谷暖流・? 親潮・?リマン寒流・ということになります。

 

[第一図] 日本近海の表層海流図

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? の黒潮は、一般的な海の色の紺色に比べて黒みがかっているのが特徴です。黒潮には濁り物質が非常に少ないために黒ずんだ紺色に見えるので黒潮と呼ばれています。この黒潮の源流は、フィリピン付近でこの海域は地球全体の熱の集積場になっていて、黒潮はそこから日本列島へ大量の熱を運ぶ作用をして、日本の温暖で降水量の多い気候に大いに役だっています。

 

 

 

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