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9. 考察および今後の課題

 

9.1 考察

伊勢湾海上交通センターの整備に伴う、船舶運航者からみたメリット・デメリット等を以下に整理した。

1] よりきめ細かな情報を、適時に入手できる。

情報の内容および提供の手段が充実することから、現状よりきめ細かな情報を適時に入手することが可能となる。特に気象情報や個別情報、航路情報、特別情報の入手は、海難の防止に結びつくものである。

2] 準巨大船の安全性および運航効率の向上

準巨大船を管制計画に組み入れることにより、準巨大船の航路外待機は、実質的に解消され、航行の安全性および運航効率の向上が期待できる。

ただし、航路通報を行う手続きが増え、航路入航時間を変更指示されることがある。

3] 運航効率の向上

管制計画作成時の航路入航時間間隔、特に反航船のそれが大幅に短縮されることから、航路通航の効率の向上が期待できる。

4] 指導対象船舶等の安全性の向上

指導対象船舶(全長130m以上の船舶を除く)、準指導対象船舶および位置通報のみ行う船舶にあっては、個別情報等の入手、レーダー等による船舶動静の連続監視等に基づく適切なアドバイス等により、航行の安全が図れる。

ただし、航路通報や位置通報を行う手続きが増えることとなる。

5] 航路入航の制限

特別指示および勧告の基準(案)は、他の航路における基準に合わせたものであるが現状と比べると、全長130m以上の危険物積載船は視界1,000m以下となるまで航路入航ができることとなるが、視界1,000m以下になった場合は全ての危険物積載船は航路入航の制限を受けるほか、指導対象船舶は航路に入らないよう勧告を受けることとなる。

以上、伊勢湾海上交通センターが整備・運用されることにより、一部の船舶にあっては航路通報や位置通報等の手続きが増えるものの、入手できる情報内容の充実および入手方法の多様化、迅速かつ適切な管制計画(通航計画)の作成とレーダー等による動静監視に基づく適切な情報提供、必要な場合は個別にリアルタイムで指示・指導や勧告がなされること等により、他の海上交通センターと同様に、船舶航行の安全性と運航効率の向上が期待できる。

 

 

 

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