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船舶からの取扱不注意による油排出事故では、燃料油取扱作業中のミスによるものが最も多く、47件と全体の約半数を占めており、この中で補給作業中のミスによるものが27件、また、移送作業中のミスによるものが20件となっている。このほか、ビルジ取扱作業中のものが20件と目立っている。

船舶からの取扱不注意による油排出事故のうち、貨物油取扱作業中のものは8件と全体に占める割合は約1割であるが、一度事故が発生すれば、大量の油が排出されることが多く、水産動植物等に対して直接被害を及ぼす等、海洋環境に与える影響が大きいものとなる。

なお、事故原因の状況を見てみると、そのほとんどが初歩的なミスによるものであり、燃料油取扱作業中の事故では、タンク油量の計測不適切によるものが24件と最も多く、次いでバルブ操作の不適切によるものが10件となっており、この他、関連機器点検整備不十分等が挙げられる。ビルジ取扱作業中では、バルブ操作の不適切によるものが7件、計測不適切及び関連機器点検整備不十分によるものがそれぞれ6件となっている。

《燃料油取扱作業中の油排出事故事例》

平成10年12月、横浜港に停泊中の自動車運搬船機関長が、燃料を搭載する際、タンク油量の計測を怠り作業を行った結果、重油タンク空気抜き管からA重油1.2klを排出した。

《ビルジ取扱作業中の油排出事故事例》

平成10年3月、鹿児島県西方海域を航行中の貨物船機関員が、ビルジの移送作業を行う際、バルブの開閉操作を誤り作業を行った結果、油分1.1klを含むビルジ約1.9klを排出した。

 

 

 

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