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浮遊タールボールの観測は、海面に浮遊しているタールボールを観測船から曳航した水平曳航ネットで採集し、その存在量は、曳航した面積当たりのタールボール重量(mg/m2)で示します。

一九九九年の採集タールボールの分布を図3に示します。浮遊汚染物質と同様に日本周辺海域で多くが採集されています。一方外洋域では、ほとんど採集されていません。これは油分の凝固した後の沈降あるいは分解等によって、海面に存在しなくなったためと考えられます。

次に一九七八年以降の年ごとの存在量の変化を図4に示します。一九八三年のマルポール条約の追加処置による船舶からの油類の排出規制処置に伴い、日本周辺海域の浮遊タールボールは大幅に減少しています。近年では、タールボールが採集されないケースも多くなり一九九九年では観測したうちの七五%でタールボールは採集されませんでした。

 

図1 浮遊汚染物質の分布(1999年)

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図2 浮遊汚染物質の年ごとの変化

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図3 浮遊タールボールの分布(1999年)

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図4 浮遊タールボールの年ごとの変化(1999年)

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おわりに

 

気象庁の行っている海洋バックグランド汚染観測のうち、浮遊汚染物質、浮遊タールボールの観測成果の概要を紹介しました。海洋汚染防止法等の規制により、日本周辺海域では浮遊タールボールが経年的に見ると大きく減少し、浮遊汚染物質も減少の傾向を示しています。しかし近年においても、いずれの観測項目も依然として日本周辺海域は外洋に比較して汚染が見られます。海洋の汚染防止および海洋環境の保全に資するために、今後もそのモニタリングの継続は重要です。

 

 

 

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