日本財団 図書館


なお、この場合は海水量に対する油分の量が大きくなるため、付着性の評価は低いものとなります。

 

2 自然の風浪等による分散効果の確認

自己かく拌型油処理剤は、人為的なかく拌を必要とせず、自然の風浪等で分散する油処理剤です。このため、かく拌回数を少なく(例えば、10回程度)した簡易試験を行うことで、その効果が確認できます。

 

3 環境に与える効果の確認

簡易試験後、数時間から半日程度、更に静置させると、浮上した油滴が振とう前の油層とほぼ同じ状態になります。これを再度振とラすると油層は再び分散し、油滴同士が結合していないことが確認できます。

このことから、処理された油滴は、最終的には海底に沈降せず、海岸・海面付近の生物への付着を抑制する環境に与える効果が確認できます。

 

4 流出油事故に備えた有効性の確認

万がーの流出油事故への備え、海上又は陸上の関係者が、貨物油、燃料油等をサンプリングし、保有している油処理剤との有効性を確認することができます。

 

5 研修・講習会等での活用

簡易試験は、油処理剤の分散後のメカニズム等が簡易に把握できるため、研修・講習会等における実証試験などで活用することで、油処理剤の正しい認識を普及させることにも役立ちます。

 

III 注意事項

1 本セットのスポイトによる滴下は、3000cSt程度の油まで使用できますが、さらに高粘度の油の場合は使用が困難となります。このような油に対しては、通常型油分散剤が分散効果を示さない場合があります。

2 付属品の油処理剤は、代表的なものであり、船舶、事業者等において異なる油処理剤を保有している場合は、予備サンプル瓶等に保管しておくことをお勧めします。

3 サンプル瓶は試験後の判別できるようマジック又はタック等を使用してその名称等を明記しておきます。

4 流出した油の性状は日々変化するので、これに合.わせた簡易試験の実施が必要です。

5 サンプル瓶、スポイト、アクリル板は使い捨てが原則です。研修目的等で再利用する場合にも、洗剤の使用は厳禁です。熱湯で洗い汚れを拭き取ります。

6 付着性の評価は、付着性が極めて高いアクリル板を使用していますが、割り箸などの木材を利用することで、より自然環境に近い評価ができます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION