IX 油処理剤の有効性の簡易試験法
油処理剤の使用に当たっては、油をサンプリングして、その分散効果を確認することが重要です。
油処理剤の有効性の簡易試験法は、事故現場等において、油処理剤の分散効果を簡易に確認することができ、油と油処理剤との相性を客観的に比較することで、油処理剤の有効性を総合的に判断するものです。
さらに、本セットは、様々な分散効果の確認、環境に与える影響の確認、事故に備えた事前の確認、研修・講習会での活用など幅広い活用にも適しています。
I 簡易試験法の手順
散布可能な油処理剤の分散効果の確認及び油との相性の比較を次の手順で実施し、油処理剤の有効性を総合的に評価します。事故現場では「取扱説明書(写真版)」をご使用ください。
1 適当な容器に油及びその周辺の海水を採取。
2 サンプル瓶は、散布可能な油処理剤の数にブランク用(油のみ)を加えた数を用意。
3 サンプル瓶(20ml用)の目盛りまで海水(16ml)を注水。(別図 1])
4 20%散布を基準とし、油処理剤1滴に対して、軽質な油5滴、重質な油は3滴。
5 スポイトにより油を滴下し、生じた油面に油処理剤を滴下。(別図 2] 3] 4])
6 サンプル瓶を振とう箱に入れ、急速に振とう。(振幅約10cm、20秒間に40回が目安)(別図 5] 6])
7 有効性の判断
外観及び付着性の評価を行い、油処理剤の有効性を総合的に判断。
評価の例示を良好な順に◎、○、△で示す。
・ 外観の評価(振とう後、30秒から1分後が目安。)(別図 7])
◎ 混合水が一様に混濁している。細かい粒子が均一に漂っている。
○ 粒子の上昇が早く、上部が濃く下部が薄い状態で混濁している。
△ 表面に油層が形成され、間もなく下層から透明に近づく。
・ 付着性の評価(外観の評価後、アクリル棒を浸して実施。)(別図 8])
◎ 細かい粒子が表面に点在して付着している。
○ 粒子が一様に付着し表面が混合水の色に近い。
△ 油がべっとり付着している。
II 簡易試験法の幅広い活用法
1 低散布率における分散効果の確認
簡易試験法は通常型油処理剤の散布率の目安である20%散布を基準としていますが、自己かく拌型油処理剤は4%散布、高粘度用油処理剤は10%散布が目安とされています。このため、混合割合表の4%及び10%散布を基準とした簡易試験を行うことで、その効果が確認できます。