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III 国際条約と国際標準化の動向

 

1 MARPOL73/78条約

海洋汚染防止に関する国際規則のMARPOL73/78条約は、次の6附属書から成っている。

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(1) 新附属書VI(船舶からの大気汚染の防止)の採択

オゾン層破壊物質のハロン・フロン等、酸性雨の原因となる硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)及び地球温暖化の原因とされている二酸化炭素(C02)などの大気汚染物質は地球環境保全の観点から国際的な規制の必要が早くから求められていた。

1987年にオゾン層の保護を目的として、ハロン・フロンガス等の排出規制を目的としたモントリオール議定書が採択され国際的な注目を浴びると、1988年にはIMOが船舶から排出するガスによる大気汚染問題を取り上げ国際的な統一規制の策定に向けた審議を開始した。9年間の長期にわたる審議の結果、IMOは1997年9月25日に船舶による大気汚染防止に関する新附属書?をMARPOL73/78条約を修正する1997年議定書として採択した。

なお、新附属書の発効要件は、受諾国数が15ケ国以上、かつ、それら受諾国数の商船船腹量の合計比率が世界商船船腹量の50%となること。

1) 新附属書?の内容

1] 規制対象物質

排出ガス中の硫黄酸化物(SOx)及び窒素酸化物(NOx)、ハロン・フロン等のオゾン層破壊物質、船上焼却炉等からの排気ガス、タンカーの貨物倉などから発生する揮発性有機化合物。

2] 規制の内容

・ 硫黄酸化物(SOx)

規制対象:

船内で使用される全ての燃料油(新附属書発効後に適用)

規制内容:

a) 一般海域

低硫黄分燃料油(4.5%未満)の使用

b) 特別海域(現在のところバルト海のみ)

低硫黄分燃料油(1.5%未満)、または排ガス浄化装置の使用

担保措置:

燃料油記録簿の発給(燃料油供給業者)及び備置き(船舶)NOx

テクニカルコード(IMO作成)に従い主管庁が排ガス化装置を承認

・ 窒素酸化物(NOx)

規制対象:

出力130kwを越えるディーゼルエンジン(2000年1月1日以降に建造または主要な改造が行われる船舶に搭載されるものに対して適用)から排出されるNOx

ただし、内航船舶への遡及適用は免除、発電機用エンジンに対しても適用

 

 

 

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