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試験船をカナダ沿岸警備隊船Sir Wllfred Grenrell(68m)がエスコートし、資材補給/油投入船として従事した。この火災包囲用オイルフェンスは、Grenfell号のすぐ背後で、46mの長さのロープで曳航された。二隻のボストンの捕鯨船がオイルフェンスの開きを維持し、この他にも無数のボートと飛行機が測定用プラットフォームとして配備された。燃焼中、テスト油がホスト船から約915l/min(242gm)の率でオイルフェンス内に投入し、曳航速度は約0.5ノットであった。

油は、Grenfell号から213mの長さのオイルフェンス内に投げ込まれ、へリトーチで点火された。この火災包囲用オイルフェンスは、市販の3M/American Marine社製品で、その中には幾つかの実験用機材が内蔵されていた。燃焼部に近いオイルフェンスの中央部には、熱電対が取り付けられて、オイルフェンスの表面温度を測定できるようになっていた。

2種類の燃焼が8月12日に行われた。最初の油量は48.3kl(304バレル)で、燃焼は1時間半続いた。燃焼後のオイルフェンス内の残滓は、0.2kl(1.3バレル)以下と少なく、このことは燃焼効率が99%以上であることを示している。次の実験の油量は28.9kl(182バレル)であったが、燃焼は1.3時間続いた。燃焼後のオイルフェンス内の残滓は0.1kl(0.6バレル)以下で、燃焼効率がこれも99%以上であることを示している。

最初の燃焼後に、この火災包囲用オイルフェンスは支え材から約10cm(4インチ)離れたステンレス鋼製のコアに疲労の兆侯が見られた。一部のNextel耐火布はこの部分から焼失したが、オイルフェンスは次の燃焼にも可能な状態であった。二回目の燃焼の後に、中央引張り部材を持つ原型部材から3本のフロートの脚部が焼失していることが発見されたが、オイルフェンスの先端では依然として油を保持していた。

このオイルフェンスは二回の燃焼を経験しても全体として良い状態であったが、後端材は交換した方が良かったであろう。後に工場で行われたメーカーによる検査では、この部材が適切に製作されていなかったことが判明した。フロートの脚部を保持するこのステンレス鋼製の編み目は既に疲労していた。それ以来、メーカーは、このテストの結果からオイルフェンスを改造して、より丈夫な網と幾つかの改善を施した。

(5) メーカーによる火災包囲用オイルフェンスの試験

Oil Stop Inc.は油火災のオイルフェンスに及ぼす影響を評価するためにタンク試験を行った。この試験は、油火災内の温度とオイルフェンスへの熱伝達の状況を計測できるように計画された。

この試験は、火災温度が1,093℃、水温が100℃に達したことを示した。外部のオイルフェンスの温度は927〜982℃に達した。

多くの試験が圧力膨張式オイルフェンスを防護する絶縁材を評価するために行われ、セラミック系耐火材が火災の高温に耐えることが判明したが、引張り強度を失い、脆くなる。このことは、セラミック材が燃焼中引張り荷重に耐えられず、あるいは破損してしまうことが原因であろうと考えられ、多層のセラミック材にして内部層の耐久性を改善した。温度は、オイルフェンスの浮き室の頭部で最高で、そこから90度離れた場所では20%から30%低いことが判明した。このことから、絶縁は浮きの頭部で増加すべきと結論された。(テストしたオイルフェンスは連続4時間の燃焼に耐えた。)

 

 

 

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