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油は軽く乳化しており、20〜30%の水分が含まれていたと思われる。

集油された油に点火するために、凝固ガソリンの小さいプラスチック袋を水上に浮かした。火気はゆっくりと点火点源から広がり、約10〜15分で全面を覆った。この全燃焼は1時間15分続いたが、その間最も激しい燃焼は約45分であった。

試験中、燃焼部は曳航船の速度を調節して制御できることが判明した。船の速度を下げるにつれて、燃焼油はオイルフェンス内に前進し、スピードアップするにつれて、オイルフェンスの後端部に移動する。約0.5ノットの時に、火はオイルフェンスの中央後端部のl/3から1/2の前方に維持された。燃焼試験中、海は静かで、西北西の微風が吹いていた。曳航方向は風に向かっていた。

3M(American Marine)の耐火オイルフェンスは、燃焼の結果予期された熱応力を受けていた。乾舷の高さの減少はわずかで、布地は幾らか脆くなっていた。(乾舷の高さの維持性を改善するために改造が行われた)耐火材のPVCカバーは融けており、これは予期したことであったが、オイルフェンスはさらに行った燃焼試験に対しても可能な状態であった。火災後、オイルフェンス内には未燃焼の油は確認されなかった。

燃焼後の残余油はあめ状の粘稠性をもったが、そのまま浮いて容易に回収された。残渣は元の容積の約2%であり、燃焼効率は約98%であった。

(3) OHMSETT 燃焼テスト

1983年に、米国内務省のMinerals Management Service、米国沿岸警備隊、及びカナダ連邦環境省Environment Canadaが共同出資する研究が始まり、外洋上での油の燃焼を抑える条件を調べることになった。試験は、Leonardo、NewJerseyのOHMSETT施設で行われ、幾種類かの原油が燃され、油膜厚さの変化、油の風化、海上の状態、風速、空気/水温度、乳化の程度、及び氷のカバー率などの燃焼に及ぼす影響が調査された。すべてのケースで、燃焼効率は乳化が起こらない限り50%から90%であった。

さらに、30%から98%氷でカバーされた状態や、0〜30ノットの風速、あるいは1〜13℃の水温下でもあまり変わらなかった。面白いのは、風化しても乳化しない油は新しい油に比べると、高い除去率で燃焼したことである。

(4) Newfoundland沖合燃焼実験(NOBE)

1993年8月12日に大規模な沖合燃焼実験が、カナダ/米国の25の当局の支援により、St.John's、Newfundland沖合で行われた。この実験の目的は、現場燃焼による焼却処理作業の環境影響の可能性を調べ、この操業で使用すべき技術の実証をするためであった。

この試験は第一の目的を火災包囲用オイルフェンスの性能評価に置かなかったが、性能調査の結果は記録された。この実験は、St.John's、Newfundlandの西25マイル沖合にある10平方マイルの広さのGrand Banksで行われた。

二つの実験が計画され、50m3(315バレル13,200U.S.ガロン)の油を火災包囲用オイルフェンスの中に投入し、燃焼する予定であったが、実際に投入された量は予定より少ないものであった。

 

 

 

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