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II 海外におけるオイルフェンスの性能テスト(文献翻訳)

 

1 滞油性能試験

(1) Minerals Management Serviceの試験

海上流出油は沿岸または沖合で発生するが、多くのオイルフェンスは典型的な沿岸/沖合における海上条件ではその効果が確認されていない。その有効性は、約1.0m以上の波、15〜20ノット以上の風または0.5〜0.75ノット以上の曳航速度では漏油する。

これ以上の条件での効果が可能であることを確認するために、Minerals Management Service and Environment Canadaは、St.John's Newfoundland沖合で、風速35ノット、、曳航速度最高1.4ノットでの条件で試験を実施した。このような条件の下では、風に向かって走らせるのではなく、風下に走らせて、このオイルフェンスは滞油の保持に成功した。

(2) NOFT/Norwegian Oil Trawl試験

1) 北海で行われた試験

Norwegian Oil Trawlは、北海のノールウェイ海域での厳しい条件に対応できるオイルフェンスを開発した。この充気式フロートのオイルフェンスは、90cmの乾舷の高さと、160cmの喫水を持ち、3mの波浪と1.5ノットの潮流において有効性を保つべく設計されている。柔軟な空気浮き室によって優れた上下動、2〜3mの波浪にあっても有効である。しかし、3mの波浪においては、油が泡立ち水中に混入し、オイルフェンスの上部を飛沫となって飛び越える。そのため、回収は一般には不可能である。

メーカーであるAIIMaritimの報告によれば、このオイルトロール“V”の形をした底部は網材が装着されている。この構成をとれば最高1.5ノットの曳航速度でもオイルフェンスの下部からの漏油を防止できると報告されている。

2) OHMSETTにおける試験

このVee-Sweepオイルフェンスは、V字型の頂点部に配置したスキマーとともに使用できるように設計されている。このV字型を形成するためにオイルフェンスを展張する掃海距離は60mと倍加され、スカートの底部はクロス網掛けによってこの形を維持している。この底部の網がかけの目的は、油を掃海時に安定させるためである。

また、このシステムは、1.0mのオイルフェンスの喫水と19.8mの掃海幅とを目標としている。試験水槽の物理的制限から、オイルフェンスは0.7mの喫水と16mの掃海幅に抑えられた。試験が、臨界曳航速度(油のない場合における最大可能速度)及び二種類の粘度を持つ試験油について最初に漏油する速度と総漏油する速度の両方を測定するために行われた。試験油は140cStの粘度と1760cStの粘度である。

このNOFI Vee-Sweepオイルフェンスのテストの結果は下記のとおりである。

・ 臨界曳航速度試験(油なしの状態)

- Vee-Sweepの頂点部の水没を臨界曳航速度とした。

- 臨界曳航速度は静水域で3.5ノットで、0.75フィートの波浪では2.4ノットであった。

 

 

 

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