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あとがき

 

本調査研究は油防除資機材の性能評価を行うための試験法の確立と、確立した試験法に基づく性能試験を実施し、性能試験等により得られた様々な情報を取りまとめた流出油事故対応防除マニュアルを作成することを目的とし、平成9年度から開始され本年度は最終年度である。

平成9年に発生したタンカー「ナホトカ」号C重油流出事故、タンカー「ダイヤモンドグレース」号原油流出事故等を契機に、我が国では関係機関において油防除に関する調査研究が一層活発に進められ、新たな油防除資機材も導入されている。

このような状況において本調査研究では、当センターが長期にわたり様々な形態の現場での油防除作業で培った技術・経験を基に、委員等の有する学識を加え、各油防除資機材の性能試験法を確立するとともに、油防除作業の際に有効な情報を取りまとめた流出油事故対応防除マニュアルを作成した。

折しも、本調査研究の最中、平成11年12月12日早朝、フランスのビスケー湾においてマルタ船籍のタンカー「ERIKA」号が時化のため、船体が「ナホトカ」号と同様2つに折損し、積荷の燃料油約10,000トンが流出するという事故が発生し、未だ各方面に大きな被害を与えている。世界の海域で一向になくなることのない大規模流出油事故の恐ろしさを改めて感ずるとともに、より的確な油防除手法に関する調査研究の重要性を痛感するところである。

本調査研究の成果として作成した「流出油事故対応防除マニュアル」は、迅速、かつ、適切な対応が要求される油防除作業に有効な情報源になるものと確信しているところであるが、引き続き、流出油事故の教訓、現場の油防除関係者の率直な意見等を反映させていく必要があると認識しているところであり、関係各位の御指導を改めてお願いする次第である。

最後に、油防除資機材性能評価調査研究専門委員会委員長 長澤準氏及び委員各位並びに関係官庁、さらに、資材を提供していただいたメーカー各社に深く謝意を表する次第である。

 

 

 

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