本試験は、ムース化油と油分散剤の予め混合中に、親水基が水分と、また、親油基が油分と結合して、ある程度の分配が形成されたと推測される。
また、表3-2-6に示すとおり、油と油分散剤の比が含水率により異なり、含水率が増加すると、油分量が少なくなり油分散剤の添加量が多くなっている。
このため、ムース化油に対するS-7の分散性能の考察は、ムース化油の油分に対する添加率を基準とすることとした。
1] 原油A
含水率20%の分散性能は、添加率10%で最大値となり添加率12.5%では分散性能値が低くなり、ミセルを形成したものと思われる。
含水率40%の分散性能は、添加率6.7%で最大値を示し、これ以上添加率を増しても分散性能は横ばいで、ミセルを形成しているものと思われる。
また、含水率40%の分散性能は、含水率20%の分散性能より高く、上述した分配の効果が表われたものと推測される。
2] 原油B
含水率20%の分散性能は、添加率10%で最大となり添加率12.5%では分散性能値が低くなり、原油Aと同じ傾向を示した。
含水率40%の分散性能は、全体的に増加傾向を示し、添加率10%以上では約70〜90%と高い分散性能が得られた。
3] C重油
含水率20%の分散性能が、含水率40%の分散性能より高い分散率を示し、両原油のムース化とは逆の結果となった。この要因としては、C重油の粘度が高く、含水率20%における予め混合時の水分と油分との分配が良好であったものと推測される。
このことから、油分散剤の添加率が増す程分散性能が良くなる傾向を示し、含水率40%のムース化油に対し、添加率16.7%で分散性能は70%を超える値を示した。
以上、各種ムース化油に対するS-7の分散性能を調査したが、本試験はムース化油と油分散剤を予め混合した結果で、実海域での散布方法が異なることが挙げられる。このため、ムース化油の分散性能については参考として取扱いに注意されたい。