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II-3-2 自己かく拌型油分散剤の性能調査

 

平成6年度から平成8年度の「大規模油流出防除技術の研究開発」において試作した航空機散布用油処理剤の調査研究結果を基に、平成9年度から自己かく拌型油分散剤に関しての分散性能及び有害性等の調査研究が本格的に行われ、今年度、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行規則(昭和46年運輸省令第38号。以下「運輸省令」という。)第37条の3の2第1項に基づき、自己かく拌型油分散剤の型式承認の取得に至ったものである。

一方、我が国における油分散剤の性能試験方法である「排出油防除資材の性能試験基準」のII項目に定める油処理剤性能基準である「舶査第52号」は、かく拌力が強く、自己かく拌型油分散剤の性能を十分評価することができないこと等の状況に鑑み、自己かく拌型油分散剤としての分散性能を評価するための試験方法を確立し、この試験方法を「MDPC法」と呼称することとした。

以下に、3ケ年にわたった本調査研究のまとめとして、MDPC法並びに新たに開発した自己かく拌型油処理剤の分散性能及び有害性について述べることとした。

なお、本調査研究で対象とする油は、最近の流出油事故の実態を考慮して、試験油をC重油とし、その粘度は3,000cStを基本とし必要な調査研究を実施した。

 

1 MDPC法の確立

MDPC法の開発の基本方針は、通常型油分散剤に比べ少ない散布量と人為的なかく拌を必要とせずに自然の風浪等で油を分散する自己かく拌型油分散剤の要求性能を的確に評価できる試験法を確立することにある。

具体的には、海洋エネルギーのBeaufort風力階級2(風速3.4m/s以下、波高0.2m)程度で油が海中に分散することを目標とした。Beaufort風力階級2の条件と舶査第52号に定める「振とう機で縦に5分間毎分300往復、振巾40」の比較から、かく拌エネルギーに大きな差異が生じるため、諸外国の分散剤性能試験の調査等により、分散性能に影響する因子を抽出し、各因子の調査研究等を進め、「MDPC法」を次のとおり確立した。

(1) 諸外国の分散剤の性能試験等

海外調査及び収集した文献の調査等から、諸外国の分散剤の性能試験法としては35種類の試験法が確認でき、これに我が国の舶査第52号を含めると36種類の性能試験法となる。

これらの試験法の中から代表的な試験法を選出し、その概略をMDPC法と合わせて、表3-2-1に示す。

表中に示したもののうち、分散性能試験と有害性(毒性)試験が一対となり、判定基準を定めた性能試験法は次のとおりであり、他の試験法は調査研究用の試験法である。

なお、MDPC法の有害性試験については舶査第52号に準拠するものとした。

 

 

 

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