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(2) 吸水性能

吸水の性能試験については、9年度では試験を実施しておらず、10年度において上記試験要領により実施した。評価は吸油性能と同様、マット型を除き、供試体の長さ、幅、重量はバラバラであり、統一した規格で実施することができないことから、「単位重量当たりの吸水量」を用いた。

(3) その他

各性能試験中における供試体の沈降、破片化等の挙動について評価する。

 

3 まとめ

 

(1) 性能試験方法

近年の流出油事故の状況から、高粘度油に対する油吸着材の性能について、9年度及び10年度の2か年でそれぞれ試験方法を変えて実施したが、9年度における性能試験はマット型の吸油試験のみであり、形状等が多種多様化した油吸着材について対応していなかった。

10年度は米国材料試験協会が定める油吸着材の吸油性能試験方法(ドラフト版)を参考として、各タイプ毎に試験方法を定め吸油性能等の試験を実施した。参考としたドラフト版には、「試験は3回行い平均値を求めるが、1回でも平均値から15%以上離れたものがあれば測定を全てやり直す。」と定められており、各タイプ毎に定めた吸油試験方法により測定した結果、3回のそれぞれの測定値が平均値から15%以内であったのは「その他の型」だけであった。測定値のバラツキの原因としては、油吸着材の素材の形状及び供試体の作成方法に因るものと考えられる。

しかしながら、冒頭で述べたように本試験の目的は正確な吸油量等の数値を求めることではなく、その油吸着材の大略の吸油粘度範囲の性能等が得られれば、実際の油防除作業に十分有効な情報となりうるものであることから、多少バラツキのある測定値が得られたとしてもやむを得ないものとした。

以上の様なことから、10年度実施した試験方法で各油吸着材の吸油性能及び吸水性能を評価することが可能であることの確証が得られた。

(2) 油吸着材の評価

10年度実施した調査結果から、各タイプ毎の高粘度油に対する吸油性能については次のとおりである。

1) マット型

マット型は比較的粘度が高くても、油に接触した部分に油が付着することから油吸着材としては有効である。また、供試体の厚さにより吸油量が異なるが厚いほど吸油量が大きくなる傾向を示す。

2) ルース型

ルース型は材質、粒径により吸油性能が大きく異なる。油吸着材は使用後、直ちに回収しなければ二次汚染を引き起こすおそれがあることから、全量回収が求められており、ルース型は回収が困難なことから推奨されない。

 

 

 

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