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これに符合して、転居して「よかった」とする者の割合も約67%と高い。なかでも、近距離移動者における割合は75%であり、4分の3の女性が転居したことを肯定的にとらえている。前節でみた、このグループに属する女性の子育て支援サービスヘの需要と関心の高さを考えると、この「好感度」の高さは注目にあたいする。

次に、生活環境を構成する具体的な項目について、移動者はどのような意識をもっているのかを見てみると、まず「子育て環境」については、「よくなった」とする者の割合は全体の54%で、一方「悪くなった」とする者は全体の18%である。ここから、転居にともなう子育て環境の変化については、肯定的か少なくとも否定的ではない女性が約8割と高いことがわかる。しかし、移動タイプ別にこれをみると、遠距離移動者の女性に「悪くなった」とするものが28%と、明確に否定的な意見をもつ者の割合が他に比べて高くなっている。これら遠距離移動者の女性が、江戸川区の子育て環境について、どのような理由・背景で、否定的な意見をもっているのかを探ることは政策実施の観点からも重要かつ必要であると考えられる。

また、「間取りなど住まいの状況」および「住居の広さ」に関する意見をみると、全体では過半数の女性が「よくなった」という肯定的な意見をもち、「悪くなった」とする明確な否定意見は約3割である。しかし、この住宅事情については、移動タイプによって評価にかなりな差異があり、特に遠距離移動者とその他2つのグループとの間の格差は大きい。他の移動者たちとは全く対照的に、遠距離移動者の過半数が住まいの状況や広さについて「悪くなった」としており、「よくなった」とするものは約3割である。これは、遠距離移動の主たる理由が仕事の都合であり、また東京都区内の住宅事情が近県意外の道府県と比較して、劣悪な状況にあることを反映しているのではないかと考えられる。住宅の広さや間取りについては、区の地域サービスの範疇外ではあるが、住宅に対して不満を感じている者が遠距離移動者に多いという事実は、行政側も注目する必要があろう。

 

第7節 まとめ

 

本章では、12歳以下の子をもつ江戸川区への女性移動者および区内移動者を対象に実施された『子育て世代の母親の居住移動実態調査』のデータを分析することによって、これら子育て世代の母親たちがどのような要因で移動したのか、そしてそれに同区の子育て支援サービスがどのように関わっていたのかを検討した。

まず、移動者を区内移動者、他の東京・埼玉・千葉・神奈川からの近距離移動者、それ以外の道府県からの遠距離移動者に分けて、その特徴をまとめると、区内移動者は、遠距離移動者と比べて就業率が高く、また転居前に親と同居し、現在は持ち家に住宅ローンを払っている者の割合が移動3タイプ中最も高い。

 

 

 

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